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3話 訓練場にて


冒険者ギルドを出てすぐの大通り。

俺は左右を見回した。


アルセフィナの町は円形状をしており、今いる冒険者ギルドは南門のすぐ側にある。

これは有事の際にすぐに門を守れるようにする為だ。

そして南門からもう一つの門である北門まで大通りが一直線に伸びており、丁度町の中心にある中央広場と呼ばれる場所には露店が多く立ち並び、この町一番の繁華街となっている。

お店や領主の屋敷などは中央広場周辺に固まっているわけだ。


冒険者ギルドから出た俺はそのまま大通りを横切り向かいにある場所へ足を進めた。


そこは広い平地となっており、ぐるりと柵で囲まれている。

ちなみに柵だけではなく目に見えない魔法による結界も張られていた。


ここが何かというと冒険者ギルド所有の訓練場なのだ。

一応冒険者ギルドの地下にもあるが、そこは新人冒険者の育成に使われている。

こちらは他の冒険者や町の衛兵達も利用できる訓練場として作られていた。


柵に囲まれたその場所へ足を踏み入れると……、


「アノンさん! 今日もお願いします!」

「アノン先輩! よろしくお願いいたします!」

「今日こそは負けません!」


訓練をしていた冒険者達が俺を見るなり声を掛けてくる。

老若男女、剣士も魔術師も関係なく俺を取り囲んできた。


「お前等も飽きもせずよくやるなぁ」


「そりゃあもちろん……アノンさんには是非私達のパーティーに来て欲しいですから!」

「それは俺たちだって!」

「こちらも同じ。 なんとしてもうちに……」


冒険者達がお互いに口を開きだしてアピールし始めた。

ミラが『人気者』と言ったのは……つまりはこういう事だった。


……一体何なのかを一から説明しよう


俺が子供の時は教会でシスターとして経験を積んでいた。

よく覚えていないが親はおらず拾われてそのまま教会に連れてこられたらしい。

物心ついた時は教会でシスターとして育てられていた。


容姿端麗で長く艷やかな金髪と陽の光が当たると輝くように見える銀色の瞳の珍しさもあり、小さい頃から『まるで天使だ』『お人形さんみたい』『何処かのお姫様じゃないか?』とよく言われていた。

そして小柄なその姿に何人もの人から『守ってあげたくなる』と言われていたぐらいだ。


が、俺の性格は周りのシスター達とは真逆であり、ある意味見た目を見事に裏切っていた。

ガサツで粗暴でよく喧嘩をするぐらい力も強く『守ってあげたくなる』どころかどちらかと言うと『守ってやる側』だった。


そしてそれは大人になった16歳になっても治ることはなく、遂には神父様から『お前はシスターより冒険者の方が向いている』と言われ冒険者になったって訳だ。


冒険者として研鑽を積み、18歳で初パーティーに入ったが……そこからは暫く酷いものだった。

まー簡単に言えばみんなして俺を狙ってくるって事だ。


18歳になり容姿に磨きが掛かったのかウンザリする程声を掛けられる上に、冒険者としても頼れるのか男も女も関係なく狙ってくる。

諦めて別なパーティーに入っても結果は一緒だった。

パーティー云々でも無く普通に告白も何度もされたが色恋に興味の無い俺は全て断ってきた。

それでも何度も何度も繰り返し迫って来る事に辟易していた俺は遂にこう言ってやった。


「俺と勝負して勝ったらパーティーに入ってやるよ。 それに俺と付き合いたいって奴もそうだ。 俺より弱いのは勘弁だからな」


そこからだった。

毎日と言っていいほど勝負を挑まれている……のだがいまだ負け知らず。


ここのギルドがどれだけ弱いのかって話だけどな。

いや、もしかして俺が強過ぎるのかもしれないけど。


まー実はこれは俺的にwin-winだったりする。


俺も訓練できるしギルドの冒険者や衛兵達も鍛えられるって事で一石二鳥な訳だ。

そう言った背景もあり冒険者ギルドは黙認且つ俺をセイバーとして雇ってくれていた。

ちなみにセイバーも冒険者の一員ではあるのでパーティーに入るのは可能ではある。


と言うわけで、こいつらが盛り上がってるのはそういう事情によるものだ。



俺は訓練場の武具置き場から少し長めの棒を手にすると拓けた場所へ移動する。

それに従い先程の冒険者達も俺から距離を取りズルズルついてきた。

そしてその中の一人が木剣を手に進み出た。


「アノンさん、まずは俺から行きます」


中級冒険者のムジカだ。

アルセフィナの冒険者ギルドではそこそこ経験を積んでおり、技量は悪くない。

まだ若いが充分中級レベルは満たしている強さだった。


俺は棒を軽く構える。

俺は神職なので剣などは使用できない、せいぜいメイスなどに限定されるので訓練でも棒を使っていた。


「よし、いつでも良いぜ」


「今日こそは勝ちますよ」


そう言うとムジカは深々とお辞儀をして……顔を上げるなり直ぐに剣を突き出してきた。


素早く一直線に突き出された剣先を棒で軽くいなす。

今まで何度かこれで体制を崩されてきたムジカだったが、今回は耐えたようで直ぐに剣を引いてきた。

と、引きに合わせて俺が深く踏み込むと慌てて剣を繰り出してきた!


焦り過ぎだな!


それを容易く棒で払い除けてがら空きの胴へ拳を入れると『うっ!』と呻き腹を折りつつも距離を取ろうとする。

それを追いかけながら棒を繰り出すと木剣で受け止めた!


(へー少しは成長してきてんな。 でも足元がお留守だぜ?)


せめぎ合う棒を押し出し……相手はそれを受け下がる。

そのタイミング!


俺が軽く足で払うとそれに足を取られ尻もちをついた!


「いてっ!」


と叫んだその首に棒を突きつける!


「あ……」


その棒を見てムジカは肩をがっくり落とすと「参りました」と剣を地面に置いた。


その瞬間周りで見ていた冒険者達から一斉に声が上がる。


「ムジカも結構やったのに……」

「流石アノンさん! カッコかわいい!」


騒ぎ立てる冒険者達に向かって棒を突きつけると、


「まだまだだな! 次、さっさと来いよ、今日も鍛えてやるぜ」


その声に冒険者達が更に声を上げ次々と前に出るのだった。


3話まで読んで頂きありがとうございました!


戦闘シーンって伝わるか不安!


伝わると良いな〜と思って書いてます。


ありがとうございました。

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