28話 謁見にて
(やべぇ! 城の中で暴れた……って言ってもビンタだけなのに、バレたのか!?)
「……思っていたより華奢で可愛らしい少女なのだな」
「……」
喋るとボロが出そうなので取り敢えず黙っておこう
「……普通に話してよい、お主の事はウレンやスピカから聞いておる。 見た目と違って粗暴で乱暴なガキ大将だとな」
(あんにゃろども〜~!)
「まぁ、そこまでバレてちゃしょーがねーか」
「ふむ、やっぱりそちらの方が生き生きとした顔をしよる」
厳格そうな王の顔に少しだけ朗らかさが垣間見れる、しかし直ぐに厳しい顔に戻ると、
「このような事を言うのは一国の王として心苦しい……本来であれば民である一冒険者に言う言葉でないかもしれん」
「魔族討伐……って事だよな?」
「その通り……レグルス王国の王都を滅ぼした奴はそのまま王都を根城として居ると聞いている」
渋い顔をする王は深々とため息をつき、
「隣国とは友好とは言えないまでも交流はあった国。 更にレグルス王国からは大量の民が他国に逃げており、我が国も同様の次第だ」
ウレン同様ウェズン王も対応に追われているようで疲れた顔を伺わせる。
「我が国の危機である魔族襲来に対して魔族を退けて見せたお主にレグルス王国の魔族討伐を頼みたい。 このまま奴を野放しにすればいずれ我が国も同じ様になるやも知れん」
この国の王ともあろうウェズン王が俺に頭を下げた。
「国、そして民の為に奴を頼む」
……アルゴルを倒した時は俺の覚悟があった
この様な悲劇をもう出さないと
そしてアルゴルは倒した
だが悲劇は止まらない……止まってない!
俺が覚悟したのはこの国の人限定だからとかじゃなかったはずだ!
「王様、頭を上げてくれよ」
「では?」
「王様だからじゃねえ、男が他人を守るために頭を下げる……そんな覚悟を見せてもらったんだ、応えなきゃ俺じゃねーよ!」
それに……
「俺は明るい笑顔が好きなんだよ。 悲劇なんて生み出させてたまるか!!」
アルセフィナのみんなの笑顔が浮かぶ。
あれこそがみんなが待ち望む幸せってやつだろ?
「お主……いや、アノン。 心の底から感謝する」
「ああ、任せとけ! そいつは俺が止めてやる!」
俺はウェズン王にそう告げると王の間を後にした。
アノンが居なくなった後、王の間に1つの影がさした。
「これでレグルス王国の魔族も倒せますかね」
「ファクト宰相か」
ウェズン王に名前を呼ばれ垂れ幕から姿を現す。
「レグルス王国の魔族をミュー王国が倒したとなれば、かの領地は我が国のものに……」
「宰相!」
低く強めの語気……ウェズン王の一言でファクトは恭しく頭を下げると、
「これも我が国発展のため……それに魔族を倒したいのは私も含めて全員の願い」
「であれば今は余計なことを考えるでない! アノンの素直さを見習うのだな」
(……)
ファクトは何かを言いかけ口を噤むとそのまま一礼して引き下がった。
ウェズン王は再度深々とため息をつくと頭を抱えたのだった。
王の間を出て城を出ようとした俺だったが困った事が起こってしまっていた。
「見つけたぞ! この無礼者!!」
あのデブ男がそう言うと仁王立ちで俺の前に立ちはだかった。
今度は一人ではなく複数の兵士を連れている。
「あのなぁ? 一体全体俺になんか用なのか?」
「用? 用だと!? あんな事をしでかしておいてか!?」
あ〜〜あ、そんなに顔を真っ赤にしちゃって……丸いからゆでダコみてぇだな
「お前……今なんか失礼な事を考えたろ?」
「失礼だなんてそんな! ただゆでダコみたいだなぁーと」
「だからそれが失礼なんだよ!!」
「なんでだよ? ゆでダコうめーじゃん」
「誰がそんな話をしてるんだ!!」
男は俺を睨み床をだんだんと踏みつけると、
「衛兵! アイツを捕まえろ!」
「で、ですが王からあの方は大事な方だと通達が……」
「お前、俺の言うことが聞けないのか!」
困惑する衛兵にますます怒気を荒くするデブ男、
「落ち着いてください、トノニ王子」
王子? ……え? アイツ王子なの?
俺二回叩いたけど?
「くっそーー! どいつもこいつも役立たず共め!」
トノニと呼ばれたデブ王子は、
「アイツが大事ってどういう意味だよ!」
「あの方が魔族を倒した方ですよ。 そしてレグルス王国に魔族討伐に行かれる方です」
「アイツが……魔族をだと!?」
驚きで怒りが消えたトノニ王子はしばし思案すると、
「レグルス王国に行くんだって?」
「そうだが?」
「ふぅ〜~ん? お前が……魔族を倒した……ねぇ?」
な、なんだかすっげぇ嫌な予感が……
「そうだ! 良いことを思いついたぞ!」
トノニ王子はニヤリとすると、
「お前が魔族を倒したらもうお前は一般市民だ、そこで捕まえてやる!」
そして腕を組むと偉そうに、
「俺様がお前について行ってやろう! 逃げられたら困るからな!」
そう言って上を向いてガハハハと大笑いするトノニ王子に、周りの衛兵達が慌てて説得するが……まぁ、この性格の奴が聞き入れるわけないよなぁ
この様子だと間違いなく無理矢理にでもついて来そうだ。
(……嫌な予感が……的中しちまったぜ)
今度は俺がトノニによってがっくりさせられたのだった。
強制イベントあるある回。
今回もありがとうございました。




