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27話 王城にて


これが……城ってやつか


俺は首が痛くなるほど上に目を向ける。


街の中心にあるにも関わらず高い塀に囲まれた城は見上げないと上が見えないぐらい更に高い建物だった。


目の前にある扉は大きく開かれてはいるがアルセフィナの扉と同じくらいの大きさがあり、その頑丈さを伺わせる。


いくつかの建物と複数の円柱状の塔とが一体化しており、今まで見たことのない形状をしている。


塀の内側、城を囲む庭もきちんと剪定されており整った空間に色とりどりの花が咲き乱れていた。



「止まれ、ここは王城だ」


門の前まで来たところで二人の門兵に止められる。


「王城に何用だ?」


「呼ばれて来たんだよ」


例の紙を見せると、


「じゃあ貴方が?」

「こんな嬢ちゃんが魔族を?」


驚きながらも王家の印を確認すると通してもらえた。


まぁ確かに俺の外見で魔族倒しましたーーは思わんよなぁ

服装も僧侶服だし


門兵に教えられた通り庭を真っ直ぐに進むと一番大きな建物に辿り着く。

扉を開けると警備中の兵士がおり再度道を教えてもらって城の中を進んで行った……。


階段を上がり、長い廊下を進み、中庭を抜け、再度階段を上がり、廊下を抜け、階段をくだり………


って、どんだけなげーんだよ!

俺何処に向かわされてんだ?


何度目かの角を曲がり通路を歩いていた時だった。


「おい! そこのお前!」


いきなり叫ぶ様な声が聞こえ思わず足をとめる。

と、後ろから追い抜くように走って来た男が俺の前に立ちはだかった!


「お前……見ない顔だな?」


そう言って俺をジロジロ見始めた。


ん〜~そうだな……こいつの事を例えて言うなら……服を着た豚?

王城に居るからか服の材質は煌びやかで上等そうだが、その服を破らんとばかりにピチピチな体型をしている。


身長は俺より少し上そうだが横幅は2倍ぐらいありそうだ。

顔は……痩せてれば見どころはあったかもしれない。

リスが頬袋に食べ物を詰め込んでいる様に顔全体が膨らんでおり、髪も艶はあるがボサボサで手入れなんてしてなさそうだ。


そいつは見終わるなり俺に向かって、


「よし、女! お前俺の妾になれ!」


……って言われた時には手が出てた。


バシン!と綺麗な音が廊下に響き渡り、


「あふん!」とか気の抜けた声を出して男がへたり込む。


「あ、すまん、反射的に……」


つい手が出てしまった……本能と言うか反射的と言うか

まぁ、仕方ないよな?

いきなりこんな奴にあんな事言われればな……


でも俺も成長したんだぜ?

グーじゃなくてパーだったし!


へたり込んだ男は最初何か起きたのか全く理解していなかったようだが、痛みと共に徐々に分かってきたのか、目を白黒させ、顔色は白から青、青から赤と変わり、そしてようやくしてから目を吊り上げて立ち上がると、


「よ、よくもこの俺様を叩いたな! このクソお……うぎゃん!」


またもや俺のビンタでへたり込む


あ……また手が勝手に……


「あーーなんだ、すまん。 なんか身体が勝手に」


2回も叩かれ目を虚ろにしていた男だが俺の言葉で我に返ると、


「そ、そ、そんな事あるか! に、二回も俺様を叩きやがって!」


三たび立ち上がると大声で喚き散らし始めた。

その頬には俺の赤い手形がはっきりと映っている……まぁ二回も叩いたからなぁ


「おい! 聞いているのか? いきなり平手打ちとか普通しないだろ!」


「うーん? 俺も普通はしないんだが、なぜか出ちゃったと言うか無意識と言うか」


「くっ! お前なんか兵達にひっ捕らえて……」


まぁ見た目アレだし言ってることもアレだけど、手をだしたのは確かに俺が悪いよなぁ?

なんで手が出たか俺もわかんねーけど……


取り敢えず兵とか呼ばれて前みたいに捕まるのは勘弁だし、城で騒ぎが起きるのは避けたい。

……ここはアレで行くか!


「あの?」


「なんだ!」


鼻息を荒くするデブ男に、俺は小さい身体を更に小さくする様なポーズを取ると、両手を顔の前で合わせて、


「ごめんなさい。 私怖かったんです」


「…………………は?」


余りの変わり身に男が動きを止める。

多分ついて行けなくて理解不能になっている様だ。


「だからつい、ごめんなさい! 許してほしい……な?」


トドメにきゅるーんと言う効果音でも出そうなほどの顔をしてやる。

男は……


「……あれ? おーい? もしもし?」


微動だにしない男の目の前で手を振るが完全に動きを留めている。

息はしてるから死んではないようだけど……理解を超えて頭が限界を迎えたのかもしれない。


(まぁ、静かになったから良いかな?)


俺はそいつを放置すると再び廊下を歩き出した。



その廊下から、教えられた場所はすぐそこだった。

豪華な造りの扉の前で兵士に待たされ……そうしてようやく案内されると……


「私がミュー王国国王のウェズンだ」


広間の奥に鎮座した玉座。

そこに座る老人が静かだが威厳のある口調でそう告げた。

彫りが深く厳格そうな顔立ちをしている。

 

慌てて頭を垂れつつ心の中で叫んだ。


(城に来いとは言われたけど王様に会うなんて聞いてないぜ!!)


本日もありがとうございます!


皆さんが良い小説に出会えますように〜

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