24話 手紙にて
「おらおら、そんなんじゃアルセフィナの町は守れねーぜ?」
ギルド横の訓練場で俺はへたり込む冒険者3人組に活を入れた。
アルセフィナに戻ってきて1ヶ月、俺はいつもの日常に戻っている。
そして今日も今日とていつもの様に軟弱な冒険者達に鍛錬を行っていた。
「はぁ……はぁ……、あ、アノンさんが強すぎるんですよ」
「ですです、もうちょっとお手柔らかに……」
大の字で寝転ぶ冒険者達に、
「お前なぁ、そんなんじゃ訓練にならねーじゃねーか」
「まぁ……そりゃそうですけど……」
不満顔だな?おい!
なら、ちょっとテンション上げてやろうか?
「ほらほら! 俺から1本取ったら一瞬だけ甘い言葉囁いてやるから!」
これが有用な武器になることを俺はエルナトで知っている
あとコイツらが単純な事も
「ぐおおお!」
叫び声と共に身を起こした冒険者共
「こうなりゃ全員で掛かるぞ!」
「よっしゃー! 俺は『愛してる』って言ってもらうんだ!」
「俺は『貴方おかえりなさい、ご飯にする? それともお風呂にする? それとも、わ、た、し?』にするぜ!」
「お前それ長すぎて卑怯だろ!」
口々に叫びながら一斉に襲いかかってくる……いや三人同時とかお前等全員卑怯だろ
左から横薙ぎする冒険者Aと右から袈裟懸けを仕掛ける冒険者B……袈裟懸けを身体を傾けて躱し横薙ぎを棒で受け止める!
「もらったぁー! アノンちゃんのキス!」
右からの男に隠れてた冒険者Cが飛び出してきた!
「キスは言ってねー……よっと!」
袈裟懸けした冒険者Bの服を掴んで引っ張るとそいつにぶつける!
ぶつかった二人は仲良く地面を転がっていく。
「おわっ! おま、邪魔!」
「お前とキスしちまった! おえー!」
そのまま左の横薙ぎをしてきた冒険者Aの木剣を棒で跳ね上げ素早く手首を返すと、がら空きの胴体に棒を叩き込んだ!
「ぶふっ!」
肺の空気が押し出される音がして冒険者Aが倒れる。
ったく、姑息な手を使いやがって!
倒れた3人を見下ろしていると、
「お、いたいた。 アノン〜~」
訓練場に入って来たミラが俺を見るなり大きく手を振った。
その手には白い紙らしき物が握られている。
(なんだ? 何かあったのか?)
「練習しとけよ?」
俺は倒れている3人に声をかけると訓練場を後にしたのだった。
「王都に?」
俺は訝しがった顔をミラに向ける。
「そうなんだよね。 前の一件は片付いたと思うんだけど……」
ミラと俺はギルド一階にあるテーブルに腰を下ろして話をしていた。
テーブルの上にはミラの準備してくれたお茶と先程の紙が広げられている。
王都に来るように……か
テーブルの上に置かれた紙を再度手に取る……手紙と言ったがその実、内容はほぼ命令書の様なものだ……内容を確認した俺はそれを反芻する。
前回魔族を倒した件についてはスピカやベリタテから報告するとの事だったが……
「王都に『来てほしい』じゃなくて『来るように』だもんね。 しかも王家直々の」
ミラの言うように手紙には王家の印が入っている。
つまりほぼ強制と言うことだ。
「んーー。 まぁ何か分かんねーけど行くしかなさそうだしな」
「せっかくアノン戻ってきてくれたのに……」
寂しそうな顔をするミラの頭をポンポン叩くと、
「まぁ、またすぐに終わらせて帰ってくるから……」
「……無理はしないでね。 ちょっと前まで新人達が立て続けに亡くなってたのに、アノンまで居なくなったら」
話ししていただけで不安になったのか泣き出しそうなミラの顔をグイッと上げると頬を両手で挟み込む!
潤んだミラの目に俺が映る。
「ほら! こっち見な! ミラの目に誰が映ってると思ってんだ?」
「アノン」
「だろ? 魔族すら倒してきた最強で可愛い俺なんだろ? 今回も大丈夫に決まってる! 安心して待ってな」
「…………ふふっ、自分で『可愛い』なんて……今まで恥ずかしがって言わなかったくせに」
涙目のままちょっと吹き出したミラだが目の裾を拭い笑顔を見せると、
「分かった! でも絶対ぜーーったい無事に帰ること!! 約束破ったら絶交だからね!」
「それは嫌だな。 何としてでも無事に帰らねーと」
俺とミラは目を合わせて笑い合う。
そうしながら心の中で誓いを立てた。
絶対に破れない約束が出来ちまったしな
何が待っているか分かんねーが、必ずまたこの町に戻ってくるぜ!
家の事とかお仕事とかで投稿時間不定です。
申し訳ございません
それでもお読み下さる皆様に感謝です!




