15話 冒険者ギルド本部にて
王都エルクルドに来て二日目の朝
街の一角にある衛兵の詰め所
「迷惑をかけた」
ベリタテが衛兵達に頭を下げると、
「行くぞ」
「あ、ああ」
促されて外に出る。
朝日が眩しいぜ……
「何処に行ったかと……迷子かと思い衛兵を尋ねてみればまさか捕まってるとはな」
「う……」
ベリタテの呆れたような言葉に一応反論を試みる
「うぅ、悪かったよ。 でも俺も貞操の危機だったんだぜ? 自己防衛ってやつだろ?」
「お前ならいくらでもやりようはあったんじゃないか?」
た、確かにもうちっと穏便に済ませる方法もあったかもしれない……多分……おそらく……きっと
「冒険者が一般市民に手を出して王国騎士に連行されるなんて……俺がいたからなんとかなったが、もう少し考えて行動するんだな」
ベリタテにしては厳しい小言だ。
それだけ迷惑を掛けたのだろう。
彼が保証人になってくれたので晴れて自由の身になれた。
情状も酌量されたが、やはりベリタテの存在が大きかった。
「まさか王都に来て初めての夜が牢屋とは……」
こんな事予想すらしてなかったぜ
「とりあえず今から冒険者ギルドの本部に行く。 話はそれからだ」
そう言って歩き出す。
「あ、待てよ!」
場所もわからない俺は迷子にならない為に慌てて後を追いかけた。
まだ朝早いと言うこともあり人の姿はまばらだ。
通りには荷入れの商人達、朝の散歩をする老人、街を見回る衛兵の姿が見える。
しっかりとした石畳にも関わらず道幅は広くよくこんな物を作れたと感心してしまう。
(アルセフィナもデカい町って思ってたけど王都に比べりゃまだまだ何だなぁ……)
など考えながら歩いていると、
「そう言えばエルナトから聞いたが……」
「ん?」
「エルナトに案内を頼んでいただろう? どうして一人になったんだ?」
「え? いや、そりゃエルナトが……」
アイツが勝手に消えやがったから……と言う前に、
「エルナト曰く気づいたらアノンが勝手にいなくなってたと言う話だが……」
あ、あんにゃろ〜〜自分が居なくなったくせに俺のせいにしやがったな!
「だからこんな目に遭うんだ。 ここは勝手が違うのだから気をつけろ」
ぐぅ……悔しい!
でも確かに軽率なのは俺だったかもしれねぇ……そこは認めよう
だがエルナトは許さん!
俺が静かにエルナトへの復讐心を燃やしていると……
「ここだ」
一つの建物の前でベリタテが足を止める。
(ん? 着いたのか)
そうして顔を見上げて……視線が空まで行きそうだ
で、デケェ!
この建物何階あんだ? いち、に、さん、……五階!?
あまりの建物のデカさに驚いている俺に、
「入るぞ。 ギルド長が待っている」
ベリタテはそう言い両開きの扉を開けて入っていく。
中……どうなってんだよ
度肝を抜かれつつ俺もそれに続き……なるほど、1階は受付と広間、そしてあっちにちょっとした酒場があんのか
冒険者ギルドの受付カウンターも広く取られており、日頃どれだけの冒険者が来るのかが伺える。
情報交換や交流をする為の広間と酒場ということだろう。
ベリタテはカウンター横の通路から奥へとズンズン入っていき、俺も後に続く。
階段をいくつか上り、木製の分厚い扉の前まで来ると、
「ここがギルド長の部屋だ」
そう告げるとベリタテは扉を2、3度ノックする。
(お前ノックできんじゃねーかよ!)
こいつ! 俺の部屋には遠慮なしに入ってきやがったくせに!
「はい、どうぞ」
部屋の中から女性の声で返事が返される。
ギルド長って女性なのか
そんな事を思いながらベリタテに続いて部屋に入る。
部屋は思ったより広かった。
正面には大きな執務机、左手には大きな書類棚などが並び、右側には応対用の客間の様なスペースが準備されている。
そして……俺はそれを見てしまった。
応対用の長椅子に腰掛けている色気ムンムンの女性を。
それはアルセフィナのギルド長であるマイアだった。
彼女を見た瞬間、口から言葉が飛び出す!
「げっ! なんでお前がそこにいんだよ!」
マイアは俺を見ると手を振りながら立ち上がると、
「はぁい、アノンちゃん。 今日も可愛いわぁ」
そう言って俺に飛びつき抱き着いてくる!!
「うがぁ! やめろ! 離れろ! この馬鹿マイア!!」
叫びながら離そうとするが俺の手を巧みにかいくぐり抱き締めてくる。
「おいバカやめろ! 胸を揉むな! 何してやがんだ! だぁーー尻を触んな!!」
この色ボケ性獣やろう!
だからアルセフィナのギルド長は苦手なんだよ!!
「アノンちゃんからいい匂いがする〜〜」
「んなわけあるか! 俺はさっき迄牢屋に……って、ベリタテ見てないで助けてくれ!」
気がつくとベリタテが『最早何も言うまい』的なスタンスで佇んでいる。
そこに、
「あ、あの〜〜」
ん? なんだ、今の声……
俺はようやく捉えたマイアを突き放しつつ、部屋の中に目を向ける。
そして……
マイアのインパクトがデカくて気付かなかったが大きな執務机には1人の少女……いやむしろ女の子がちょこんと座っていた。
「あの〜〜? すみません、聞いてください」
その女の子が声を張るが……
「でへへ……アノンちゃん成分取らなきゃ。 今のうちに貯めないと」
「マイアうるさい」
俺はマイアの脳天にチョップをお見舞いする!
「いっっったぁ〜〜い! アノンちゃん酷い!」
「酷くねぇよ、マイアがうるさくてあの子が困ってるだろ!?」
「あ、でもアノンちゃんのチョップなら気持ちいいかも……」
駄目だコイツ、もう色々手遅れだ
俺はマイアを放っておくことに決め、
「えっと? ベリタテ、この子は? 冒険者ギルドで預かっているとか?」
ベリタテはゆっくり頭を振ると、
「いや、この方が全冒険者ギルドの長であり元最上級冒険者でもある、ウレン様だ」
毎回ありがとうございます。
今回の新キャラは人によっては温度差ありそうです。
苦手な方はすみません。
毎回は出ないと思いますのでそれで何とか。
引き続き宜しくしていただけたら幸いです。




