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14話 王都にて


「……や、やっとだ」


俺は思わず心の底から声を上げる。


「やっと……着いたぜーーーーーーーー」


王都エルクルド

その城下街の大きな門の前で俺は辺りに響き渡るほどの大声で叫ぶ。


通りがかりの人達がギョッとした顔でこちらを見ては通り過ぎていったが、そんな事はどうでも良かった。


こ、ここに来るまで三週間以上……只々ひたすら歩きまくってようやく辿り着いた 


朝日も俺を祝福してくれている様だ

……もう昼回ってるけど



「うるさいぞアノン」


エルナトが顔をしかめながら小言を言い始めた。


以前は「冒険者」とか言っていたのにいつからか名前呼びに昇格したらしい

若干上からなのは今でもたまにあるが前よりはマシになっている


「こんなに歩いてやっと着いたんだぜ! もう感動もんだろ?」


「全く……田舎丸出して恥ずかしいったらない。 こんな事ではベリタテ様まで恥をかかせてしまう」


名前の上がったベリタテ本人は俺達に振り返り、


「俺は先に冒険者ギルドに行っている。 エルナト、お前はアノンにエルクルドを案内してやれ」


「わ、私がですか?」


「そうだ」


それだけ告げると門から街の中へと消えていった。


エルナトはそんなベリタテを見送ると「なんで私がこんな奴を……放っておけば勝手に……」とブツブツ言いながら一人立ち尽くしている。


一人呟くエルナトを放置しベリタテが入っていった門を改めて見上げてみる。


改めて見ると……でけぇなぁ

アルセフィナの門もデカいと思ってたけどここのと比べると半分もねーのか


門だけではなく王城、そしてその周辺街を守るための塀

全てが今まで見てきたどの建物より巨大だ


門を行き交う多くの人々も明るい表情を浮かべ、見ているだけでこちらもワクワクしてくる


「エルナト、俺達もそろそろ中に入ろうぜ!」


と振り返った……そこには誰も居なかった


あれ? アイツどこ行きやがった?


辺りを見回すが何処にも見当たらない

暫く探したがやはり見つからなかった


そうして俺は一つの結論に達した


(アイツ〜〜俺をほっぽって先に行きやがったな!!)


そう言えば放置する的なこと言ってたし……なんて奴だ! 

今度会ったら今まで以上にアタフタさせてやる!


プリプリしながら門を抜ける。

ちなみに門兵がいたが話が通っていたのか冒険者ギルドのドッグタグを見せるとすんなり通らせてもらえた。


そうして俺は城を取り囲む街に入ったのだが……


「マジか……なんだこりゃ」


アルセフィナと違って木ではなくレンガや見たことない物で作られている家々。

どの建物も2階、3階と見上げる建物ばかりで、外壁もカラフルな色に染められている。


行き交う人達の服装も見たことない色合いやデザインで、店先で声を張る商人達も活気が段違いだ。


ポカンとして立ち尽くしていると……


「君、どうかしたのかい?」


肩を叩かれ振り返ると2人の青年がこちらを見ていた。

派手な服に身を包んだベリタテとは真逆の方向に割り切った姿をしている。


話しかけてきたのはコイツらだな?

一体何の用だってんだ?


「いや、ただ見てただけだ」


「お? 王都は初めてかい? 良かったら案内しようか?」


親切心にも聞こえるが……誠実さを感じられない。

それどころか人を小馬鹿にしたような笑みさえ浮かべていた。


(なんだコイツラ? ニヤニヤしやがって気持ち悪い奴らだな)


「いらねー俺は自分の足で見て回るタイプなんだよ」


そう言った瞬間、男達の顔色が変わり奇異の目を向けたかと思うと、


「んだコイツ! 女のくせに自分の事『俺』とか言ってやがる」

「やべえ奴だな、おい、行こーぜ」


2人はそう吐き捨て喧騒の中に消えていった。


(何だったんだ今の? ……まぁ中には変な奴らも居るってことか)


俺は気を取り戻すと街を歩く事にした。



色々な店を見て回り、噴水だの街灯だの初めて見るものに目を奪われ……気が付いたら空が茜色に染まっていた。


(あ、もうこんな時間か。 そろそろ向かわないとな)


そこで俺ははたと気付いた。


(何処に行きゃ良いんだ?)


集合場所なんて聞いてないし、そもそも場所を聞いてもこの街の事なんて全然分かんねー


道端で立ち止まってウンウン唸っていると……


「お前!」


いきなり大声がしたかと思うと目の前に2人の青年が現れた。


「んだよ、またテメーらかよ」


呆れた顔をする俺に


「相変わらず女のくせにフザケた言葉しゃべりやがって」


昼間と違って怒気をはらんだ言い方

赤い顔は怒っているだけではなく酒が入っているからのようだ


大方酒が入って気がデカくなったんだろうな……


「顔が良いから可愛がってやろうと思ったのによぉ」


そう言って2人が俺を取り囲むように近づく……


「まぁ、でもだ? 黙ってればいけんじゃねーか? 口塞いてヤッちまおうぜ?」

「確かに? ここまでの上玉はなかなかお目にかかれねーし」


好き放題ほざいてくれるぜ

はぁ……せっかく人が楽しい気分で観光してたんだけどな


「おい、お前等。 2度は言わねー。 10秒やるから今すぐ消えろ」


2人に向かってそう告げると、


「おいおいマジかよ、コイツ俺達に喧嘩うってんぞ?」

「いやぁ、可愛いねぇ。 その小さな手でポカポカするんでちゅか〜?」


「い〜ち」


そして次には、からかう様なその顔面に拳を叩き込んだ!

青年の一人が「うべっ」っと聞いたことのない声を上げて地面を転がった!


「お前! 10秒って言ったじゃねーか!」


転がった相方を見て一瞬で青ざめた男がそう叫ぶが、


「俺の中では1の次は10なんだよ!」


「そんな卑きょ……」


言い終わるのを待たずに拳を顔面にお見舞いしてやると、男は空中で三回転を決めて地面にキスをしたあと眠りについた。


「ったく、何だったんだコイツらは」


殴った拳をハンカチで拭い振り返った俺の目の前にいくつかの槍の穂先が突き付けられた!!


「おわっ!? 何だってんだ?」


槍を突き付けているのはどうやら兵士達の様だ。

そして兵士達の中から一人の凛とした女性が姿を表す。

黒髪で長髪、背が高く白銀の鎧に身を包んだ女性は俺に向かって、


「王国大隊騎士団団長のスピカです。 王都内での暴行を働いたとして貴方を拘束させてもらいます!」


「お、おい! それはこいつらが……」


「問答無用! 抵抗するなよ? 不利になるだけだぞ?」


周りの兵士達が口々にそう言うと再び槍が突き出され、俺はそのまま拘束されたのだった。


ストックがあるのでちょいちょい出しちゃうのですよね


切れないように負けじと書きますのでー


今回もお時間頂き、ありがとうございました!

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