11話 途中にて
アルセフィナから王都エルクルドまでは徒歩で一ヶ月程度掛かる。
王都から途中までは整備された道が続くが、アルセフィナに向かうなら山道を抜けなければならない。
ベリタテ達は馬車に乗って来ていたらしいが、山道は無理とのことで山道手前にある小さな村に馬車を待機させてきたとの事だった。
「んじゃまぁサッサと山道抜けようぜ」
張り出した草をさっき拾った棒で払い除けながら細い山道を抜ける。
俺についてエルナト、ベリタテと後に続く。
(ここら辺は地元みたいなものだしな)
冒険者ギルドの依頼で何度か抜けたことのある道
勝手知ったるなんとやら、だ
スタスタ抜ける俺の後ろから「うわっ! 虫が!」「なんか音がしましたよ!」とエルナトの情けない声がちょいちょい飛んでくる。
はぁ本当にコイツも冒険者なんだろうか?
こんなんじゃうちのギルドの奴らの方がもっとマシじゃねーか?
呆れつつも足を動かし山を抜ける事を優先する。
なぜなら----
後方から澄んだ金属音と共に剣を抜き放った音が響いた。
(まぁこんだけ騒げば気づかれるよな)
俺も腰に差したメイスを取り出し握りしめた。
細い山道、両側とも深い草に覆われている。
その草むらのあちこちから草をかき分ける音がし始めた。
さすがのエルナトも気付いたようで剣を抜き放つ。
それとほぼ同時に、草むらから出てきた影がこちらに向かって飛び掛ってきた!
それに向かってタイミングを合わせるとメイスで横殴りに叩きつけた!
同時にその正体を見極める。
(食肉兎か……)
人肉を好んで食べる大型の白兎……跳躍からの爪と牙による刺突が得意な魔獣だな
先陣を切った兎をブチのめしたのを合図に、あちこちから白い塊が飛び出してくる!
直ぐにメイスを引き寄せると次の兎に向かって振り下ろす!
甲高い悲鳴と共に白い毛皮が一瞬にして紅く染まって地面に落ちる。
目の端で確認すると、すぐ横ではエルナト、少し離れた所ではベリタテがそれぞれ剣を振るっている。
(へぇ? 一応お付きの冒険者だけあってエルナトもやるじゃねーか)
頼りなく見えていたエルナトだが、剣が一閃する度に兎達が屍と化していく。
思っていたより手練れだった様だ。
あれなら平気そうだな
じゃあちゃっちゃと片付けるか
同時に飛び掛ってきた兎をまとめて薙ぎ払い深い草むらの中に吹っ飛ばす!
メイスがめり込む手応えがあったから仕留めてはいるだろう。
間髪入れず次の兎が飛び掛かってきた!
体勢が悪くメイスは間に合わない!
鋭い爪が顔面を抉ろうと迫り……身体を反転させつつそれを躱すと仕方なく左腕で殴りつけた!
地面でバウンドしつつそいつも草むらの中に消えていった。
(強くないけど数で来るのが面倒なんだよなぁ……)
他の二人と共に、確実に仕留めていく。
そうして襲撃が収まった時には辺り一面白い毛と紅い血、そして物言わぬ塊となった兎達の死体で埋め尽くされていた。
一息ついてメイスの血を拭っていると、
「お前、なかなかやるじゃないか」
エルナトが感心したようにこちらを見ていた。
彼も俺同様剣の血を拭い鞘に収めようとしている。
「エルナト様ほどではないです。 カッコよかったですよ」
「は、はう! さ、様? カッコイイ……カッコイイ……」
またも上目遣いでそう言うと再び顔を赤くして慌てて目線を逸らしている。
(ったく! どうしてこいつはこう上から目線なんだ? 頭にきたから暫くこれでからかってやるか)
メイスを収め髪と額についた血も拭うと、
「次が来ないうちに早く行こうぜ。 今度はこの死体の匂いで集まってきやがるからな」
二人にそう告げると再び先頭に立って歩き出したのだった。
その後は襲撃もなく山道を抜けると左右に伸びた整備された大きめの道に出た。
馬車2台が余裕を持ってすれ違えるように道幅は広く、均した土が延々と続いている。
「王都エルクルドと商業都市ベガを結ぶ通行の要となる道だ」
ベリタテの説明で「なるほど」と答える。
多分(なんでこんなに道が広いんだろう?)と思っていたのが顔に出ていたのかもしれない。
「馬車を預けた村はこっちだ」
山道を抜けて元気になったのかエルナトが生き生きしており、先頭に立って歩き始めた。
「あんた、よくエルナトを従者に置いてるな」
「あれはあれで優秀だ」
ベリタテはきっぱりと言い切る。
頼りないように見えるが信頼はあるみたいだな
俺への態度見ると疑わしく思えるけど……まぁ人は見た目によらないってことか
嬉々として歩き出したエルナトについてベリタテ、俺と続いて歩き出したのだった。
今回もありがとうございます!
引き続きちょいちょい投稿いたします〜
宜しくお願いいたします




