2268/2371
生きると無夢
無夢はまぶしい世界を見る。
何もかもが明るい。
「二人とも。私、壊れた場所にいたの。壊れた場所はもうだめで明るくなれなくて、明るくなくて、何もかも嫌で、何もかも苦しくて、何もかも辛くて、痛くて悲しくて悲しくて悲しかった。今も悲しい」
悲しい
悲しい
悲しい
明るいことが悲しい
その場所にいなかった自分が
悲しかった
「悲しかった…悲しかった」
いつきは何となく、無夢の方へ行くと抱きしめてしまう。
「はい…おいでおいでですー」
「急になに」
「かわいいから抱きしめたいんです」
無夢は泣きそうだった。
いつきが抱きしめなかったら走ってどこかへ行こうとしていた。
いつきに抱きしめられると桜の少女を思い出す。
温かさは違うけど
温かい
無夢は涙を隠せた。




