293話 VSグリフォン(1)
「頼んだ、ラティファ!!」
「ええ!! アースバレット!!」
俺が飛び出すと同時にグリフォンに向かって魔法を放つラティファ。石の礫がグリフォンの周りの地面から放たれた。しかし、グリフォンにあたる前に弾かれた。
よく見ればグリフォンの周りに渦巻く風。風魔法を常時纏っているのか? 近づいてようやく気づけるほどの風の鎧。俺は躊躇わずグリフォンの頭に向かってシュバルツを振り下ろす。
しかし、風の鎧があるせいか簡単に弾かれてしまった。黒帝を使用してないにしても魔力を通したシュバルツを弾くのか。見た目以上に魔力密度が厚いらしい、グリフォンの風の鎧は。
弾かれて体が浮いた俺に向かって突進して来たグリフォン。それなら、先ほどより魔力を込めてシュバルツを振り下ろす!!
「グュギィ!!?」
初めは振り下ろしたシュバルツを先ほどと同じように受けようとしていたが、風の鎧に触れた瞬間、鎧が切れたのがわかったのか一瞬で方向転換してシュバルツを避けた。
……この鎧のせいで中々攻撃が通らないのに、素早さまであるのか。かなり厄介だぞこいつ。
俺の剣が危ないとわかったのだろう。俺から離れようとするグリフォン。そんな距離を取ろうとするグリフォンにラティファが魔法を放つのだが、ラティファの魔法は煩わしさはあるのだろうけど、風の鎧を突破できないとわかったのか、避けるそぶりを見せずにそのまま走る。
俺は追いかけるのをやめて、一旦ラティファの元へと戻る。俺の足で追いつくことはできるだろうけど、空を飛ばれると結局振り出しに戻るから一旦やめだ。
グリフォンも俺から距離が取れたから動きを止めて警戒しながらこちらを見てくる。もう奴の目に先に避難した彼らは見ていない。今はこの中で傷を付けられる俺だけを見ていた。
「あの風、かなり厄介ですわね。私の魔法が簡単に弾かれてしまうなんて」
「こっちは、魔力を増やせば突破は出来るが、あの反応速度で直前で反応されて避けられる。あれを止めればなんとかなるとは思うのだけど」
「なら、私が魔法をの密度を増やしますわ。あなたは魔法の雨の中を掻い潜る事を出来ますの?」
挑戦的な目で俺を見ながらそういってくるラティファ。その目の中には苛立ちが見えていた。どうやらグリフォンに相手されない事に苛立っているらしい。
「まかせろ。ラティファは魔法であいつの動きを阻害する事に集中してほしい」
そんな挑発とも取れる言葉に俺は真面目に答える。今グリフォンを仕留めるのにラティファの魔法は不可欠だ。多少当たろうともシュバルツの消滅の力でなんとかなる。
俺があまりにも普通に答えるものだから、ラティファはポカンとした表情を浮かべていたが、その後クスクスと笑い出す。なんか変なこと言ったか?
「私が後ろから狙うとは思いませんの? あなたはリストニック家では結構恨まれてますのよ?」
「ん? ……そんなこと思わないさ。リストニック家が俺の事をどう思っていようと、君個人は違うんだろ? あの話を聞いて俺はそう思ったけど。それに君は背中を預けるに足りる人物だ。……さて、グリフォンも痺れを切らして来た。頼んだよ、ラティファ」
俺はそのまま再び飛び出す。ラティファがなぜ突然そんな事を言い出したのかわからないが、道中での話や騎士としての立ち振る舞い、それに前の手合わせの時の実力を見ても彼女は頼るに値する騎士だ。俺は彼女を信頼して目の前の野獣を叩き斬るのみ!!
「そこまで言うのなら、見せて差し上げますわよ!! 私の魔法を!!」
そして、後ろからラティファの声と共に背中から感じる途轍もない魔力。そして、かなりの速度で俺の左右を抜き去っていった。
ズドンッ!! と大きな音を立ててグリフォンに向かったのは、黒色の槍だった。しかし、ただの槍ではなかった。魔力によってかなりの密度に固められた土の槍。その周りに風を纏わせて回転させ、火で加速。槍の穂先に闇の消滅が付与されていた。
そして、グリフォンの風の鎧にあたると闇魔法の消滅が働き穴が空きそのままグリフォンを貫……く前にグリフォンは避けるが、この槍が何本も飛んでいきグリフォンは避けるのに集中していた。
しかもラティファが上手くグリフォンの動きを制限してくれた事によって、俺はグリフォンに追いつく事が出来た。
目の前には槍を避けるのに必死で俺が目の前に来てようやく気がついたグリフォンが。俺は既にシュバルツを上段に構えて、魔力を込めていた。そして
「烈炎流……大斬火!!」
一気に振り下ろす!! 逃げ道の無くなったグリフォンの翼目掛けて俺の放った一閃は振り下ろされた。




