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287話 事件の全貌

「失礼します!!」


 リンダロス副騎士団長の騒動から少しして、扉がノックされた。レイブン将軍の返事により、部屋へと入って来た兵士たちに連れられて来たのは茶髪の男だった。

 特に特徴的なものは無く、印象に残りづらいが、それが逆に不思議に思わせるような雰囲気があった。……こいつがロナの父親なのか?


「レイブン将軍!! 件の容疑者を連れて参りました!」


「ご苦労様です。さて、あなたがここ連れて来られたのはわかっていると思います。ああ、リンダロス副騎士団長はいませんよ。彼は既に捕えているので、正直に話した方が良いでしょう」


 そう言いながら圧をかけるレイブン将軍。その圧に耐え切れずに震える男。男は冷や汗をかきながらポツポツと話し始めた。


 まず、この男がロナの父親であるのは確からしい。ただ、ロナの母親は何人かいたうちの1人だったらしく、しばらく一緒にいたものの、母親が病気になったのと抗争が激しくなったのが合わさって捨てたらしい。

 この時点で、ミストリーネ団長は怒りで直ぐにでも斬りかかりそうな雰囲気があったが、我慢してくれた。


 この男はリンダロス副騎士団長と色々取引をしていたようだ。娼婦や奴隷、薬物に金貸しと。後は裏で金を渡して捕まりそうになった時は便宜を図って貰ったり。結構悪どい事をしていたようだ。国のためと言いながら、ふざけた事をしていたようだリンダロス副騎士団長は。


 そんな中、リンダロス副騎士団長の話の中で俺の話が出たらしい。その話の中にはロナの事もあり、どうやら過去に何度か見かけた事もあったのだとか。


 まあ、黒髪の貴族は目立つし、その従者も黒髪なら見られる事は多いか。俺も馬車を使わずに歩く事もあったし、ロナも買い物とかで王都を出入りしてたし。


 ロナの姿は髪の色以外は母親に似ていたようで直ぐにわかったとのこと。その事をリンダロス副騎士団長に話した事で今回の計画の話があったようだ。


 エシュフォード伯爵は元々始末する予定だったようだ。エシュフォード伯爵もリンダロス副騎士団長たちと取引をしていた仲間だったのだが、最近はその事を隠し通すのが恐ろしくなったのか、陛下に話すつもりだったらしく口封じで殺す予定だったとのこと。


 そこで、俺を貶めるためにロナを誘い出したようだ。上手くいくかはわからなかったようだが、この男がロナの前に姿を現して気がつくか試したところ、ロナはこの男の事を覚えていたようで後を追って来たらしく、そこを捕えたらしい。


 本当はエシュフォード伯爵が死んだ後に、部屋で殺して置き去りにし、相打ちさせたように見せようとしていたようだが、途中でロナが目を覚まして逃げ出したようだ。


 ただ、ロナに使った睡眠薬はそこそこ強いやつのようで、目が覚めたとしても上手く体を動かす事が出来ないはずだからと追跡を後回しにして、まずはエシュフォード伯爵を殺して、その後ロナを追跡したようだが、何故か朝まで見つからなかったらしい。


 そして、今に至るのだとか。


「……なるほど。全てを信じるわけにはいきませんが話はわかりました。もう戻して結構です」


 これ以上の話は聞けないだろうと、連れて来た男を牢屋へ戻すように指示を出すレイブン将軍。後でもう一度詳しく話を聞くのだろうけど。


 それよりもロナの事だ。リンダロス副騎士団長たちから逃げ出せたのなら戻って来ても良いはずなのだが、まだ戻ってこないという事は、薬のせいで何処かで倒れているかもしれない。早く探しに行かないと。そう思い、レイブン将軍に話をしようとしたところで


「失礼します!!」


 と、先ほどとは別の兵士が部屋に入って来た。そして、レイブン将軍に耳打ちをして部屋を出て行ったのだが、レイブン将軍はこちらを見て


「ロナ君が見つかったようだ」


 その言葉を聞いた途端居ても立っても居られなくなり直ぐに部屋を飛び出した。早くロナに会いたい。


 ◇◇◇


「……それで、奴に罪をなすりつけるのは失敗したのか」


「ええ。リンダロス副騎士団長も投獄されましたので、これ以上は何も出来ませんね」


 やれやれと首を振るフードを被った男。フードの中から僅かに見える銀髪。私が取引している男で、色々と手助けをしてくれている。


「伯爵や副騎士団長たちの手元にあった証拠は全て処分してある。我々に近づく事は出来ないだろう」


「そうですね。しかし、裏に誰かいたと思われてはいるでしょうね。あまり失敗されるとこちらも困るのでしばらくは動かないでいただけます?」


 そう言いながら威圧してくる男。私はそれだけで呼吸が満足に出来なくなる。この侯爵である私が。私は震えながらも頷くしか出来なかった。そんな姿を見て満足したのか圧を抑える男。


「元王子の調整はまだ少しかかる上、あなたの息子たちに使う魔石もまだ本国から届いていない。無駄な動力は使いたくないのでお願いしますよ?」


「……わかった。しかし、何故あの黒髪の女を生かした上、奴らに送り届けたのだ? あのまま殺せ……ぐうっ!?」


 殺せばよかった、私がそう言おうとした瞬間先程以上の魔力の圧が私に降りかかり、私は椅子に座っていることすら出来ずに床に倒れた。


「……私は証拠隠滅のために伯爵を殺す事しか聞いていなかったのですが? なのに彼女を、その上伯爵も巻き込んで面倒な事をしようとした。あまり舐めないでもらいたい。

 別にあなたの協力をしなくても良いところを協力しているんだ。こちらの計画の邪魔をするならまずはあなたから消しますよ、リストニック侯爵」


 私は再び頷く事しかできなかった。その後男は音もなく消えた。……くそ、腹が立つが彼らの協力が無ければ上手くいかないのはわかってる。ここは歯を食いしばって我慢だ。私の目的のために。

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再開だー。 わーい。 かなり忘れてるけど…
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