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【神のクレカで無限通販】三ツ星シェフの異世界無双~極めし武術と現代食材で飯テロしつつ、ポンコツ女神を養います~  作者: 月神世一


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EP 4

潜入! 出張ケータリング大作戦

ルナミス帝国広域管轄・ゲルド子爵邸。

けばけばしい金箔と悪趣味な彫刻で飾られたその巨大な屋敷の裏門に、一台の大型荷馬車が静かに到着した。

「止まれ! 貴様ら何者だ! 今夜は子爵閣下の特別な『歓迎の宴』がある。関係者以外は立ち入り禁止だぞ!」

完全武装の門番たちが、鋭く槍を突きつけてくる。

そこへ、馬車の御者台から一人の男が優雅に降り立った。

アイロンの完璧にかかった燕尾服。背筋は定規を当てたようにピンと伸び、その所作には一片の隙もない。ルナミス執事検定1級を誇る人狼族の宰相、リバロンである。

「お静かに。……ゲルド子爵閣下のご機嫌を損ねますよ」

リバロンは懐から、一枚の羊皮紙をスッと取り出し、門番の鼻先に提示した。

「我々は、帝都より派遣された『ゴルド商会・特級出張料理団』でございます。今宵、閣下が極上の『月兎族の姫君』をお迎えすると聞き、オロチ会長直々の計らいで、最高級のディナーをご用意しに参りました」

「ゴ、ゴルド商会の特級部隊だと……?」

門番が羊皮紙の印章を確認する。そこには、間違いなくゴルド商会会長・オロチの『黄金の蛇の印鑑』が押されていた。

(……フフッ。ニャングル殿の偽造技術は、相変わらず国を傾けるレベルですね)

リバロンは内心で笑いながら、さらに冷たく、威圧的なトーンで言葉を重ねた。

「閣下の『極上の夜』に相応しい料理を、しがない田舎の料理人に任せるとでも? もしここで我々を追い返し、閣下のディナーが台無しになった場合……あなた方、明日は蟹工船に乗る覚悟はおありですね?」

「ひぃッ!? し、失礼いたしました! どうぞお通りください!!」

完璧な執事のハッタリと、偽造書類の前に、門番たちは慌てて道を開けた。

こうして、『ポポロ暗躍部隊(ケータリング仕様)』は、一滴の血も流さずに屋敷の内部へと堂々たる侵入を果たしたのである。

***

「な、なんだお前たちは! ここは子爵邸の厨房だぞ!」

屋敷の巨大な厨房に踏み込むと、元から雇われていた料理長たちが怒鳴り声を上げてきた。

「悪いが、今夜は俺たちがこの厨房を『間借り』させてもらうぜ」

純白のコックコートを纏い、口にLarkを咥えた優也が、荷馬車から運び込んだ巨大なクーラーボックスをステンレス台にドンッと置いた。

「ふ、ふざけるな! どこの馬の骨とも知れん奴らに――」

「邪魔だ」

優也はまな板の上に置かれていた大量の野菜を前に立ち、目にも留まらぬ【天極流・神速の包丁捌き】を披露した。

タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタッ!!

ただの千切りではない。空中に放り投げた野菜が、重力に従って落ちてくる数秒の間に、全てが芸術的な均一サイズに切り揃えられていく。

「な、なんだこの包丁捌きは……ッ! 魔法か!? いや、純粋な技術スキルだと!?」

屋敷の料理長が、腰を抜かしてその場にへたり込んだ。

「これでも三ツ星のシェフなんでな。……お前らは隅っこで、俺たちの『仕込み』でも見学してな」

優也が睨みを効かせると、屋敷の料理人たちは震えながら部屋の隅へと逃げていった。

「ふぅ。重かったわ……! これで全員分の武器は搬入完了よ!」

下働きのエプロン姿に変装したダイヤが、重い木箱(中にクリムゾンアーマーや魔導バズーカが隠されている)を床に置き、汗を拭った。

「マスター! 私たちのお着替えも終わりましたよぅ!」

「ダーリン! 私、この服すっごく動きやすくて最高ですぅ!」

厨房の奥から、リリスとリーザが飛び出してきた。

彼女たちが着ているのは、フリルのついた可愛らしい『メイド服』……ではなく、黒のスラックスに白いワイシャツ、そして黒のソムリエエプロンという、ガチガチの【高級レストランの給仕服ギャルソン・スタイル】だった。

「よし。似合ってるじゃねえか。これでいつでも客席(戦場)に出られるな」

優也が頷いた時、厨房にゲルド子爵の側近が顔を出した。

「おい、出張料理人! 今しがた、ポポロ村から例の『月兎族の女』が到着した! 閣下はすでに、三階の【VIP用寝室】でお待ちだ! 料理は全て、直接寝室の前の控え室まで運べ!」

「……寝室で、ディナーだと?」

優也の目が、スッと危険な色に細められた。

「ああ。閣下は『極上の女をブラッシングしながら、極上のメシを食う』とおっしゃっている! 手はずは分かっているな!」

側近が去っていくのを見送り、厨房は一気に氷点下の殺気に包まれた。

「……あの豚。食事をなんだと思っていやがる」

優也は短く吐き捨て、Larkの煙を深く吐き出した。料理人として、ベッドの上で女を泣かせながらメシを食うなど、万死に値する冒涜だ。

「優也様。下処理カチコミの準備は整っております」

リバロンが、銀の巨大なドーム型フタ(クロッシュ)が乗せられた、豪奢なルームサービス用のワゴンの取っ手を握った。

そのドーム型のフタの中には、料理ではなく、優也の愛刀『白雪』が静かに横たわっている。

「いくぞ、野郎ども」

優也はエプロンの紐を力強く締め直し、ワゴンを押すリバロンと共に厨房を出た。

その背後には、スラックス姿のダイヤ、リリス、リーザが、それぞれ『お盆(と見せかけた暗器や鈍器)』を隠し持ち、静かに付き従う。

悪徳貴族の寝室へと向かう、死のルームサービス。

定食屋の親父の怒りの刃が、好色な豚の喉元へと迫っていた。

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