戦闘
「行くぞ」
ユノの、合図と共に、木陰から、一斉に、飛び出した。
「――侵入者だ!」
護衛の、一人が、いち早く、気づき、声を、上げる。
「迎え撃て!」
マルコスの、鋭い、指示が、飛ぶ。
護衛たちが、一斉に、武器を、構え、それぞれの、愛獣を、前面に、押し出した。
「レナ、援護を!」
ユノが、叫びながら、剣を、抜く。
「任せて――風よ!」
レナの、杖から、鋭い、風の、刃が、放たれる。
護衛の、隊列を、崩すように、地面を、抉った。
その、隙を、突き、ベタの、精鋭たちが、一斉に、突撃を、開始する。
犬に似た、俊敏な、愛獣たちが、先陣を、切り、護衛の、足元を、掻き乱していく。
「――ラグナル!」
ユノが、肩の、竜に、声を、かける。
小さな、体を、震わせ、ラグナルが、飛び立った。
まだ、完全には、飛べない、翼。
だが、確かに、宙に、浮かび上がる。
「――炎を!」
ユノの、声に、応えるように、ラグナルの、口元に、小さな、炎の、輝きが、灯った。
まだ、小さく、弱々しい、炎。
だが、正確に、狙いを、定め、近づく、護衛の、一人に、向けて、放たれた。
「うわっ……!」
不意を、突かれ、護衛が、大きく、たじろぐ。
「やった――!」
レナが、思わず、声を、上げる。
「まだだ、油断するな!」
ユノが、鋭く、返し、目の前の、護衛と、剣を、交える。
一方、ティナは、少し、後方から、戦況を、注意深く、見守っていた。
「……ウール、様子が」
肩の、白い、生き物が、突然、大きく、震え始めた。
淡い、光が、その、体から、溢れ出す。
「……何が、起きてる」
ガインが、驚いたように、目を、見開く。
ウールは、ふわりと、宙に、浮かび上がり、まるで、何かに、導かれるように、遺跡の、中心へと、向かって、進み始めた。
「待って――!」
ティナが、慌てて、追いかける。
「危ない、下がれ!」
ユノも、剣を、振るいながら、叫ぶ。
だが、ウールは、止まらなかった。
遺跡の、中心、儀式の、準備が、進められている、その場所へと、真っ直ぐに、向かっていく。
「……あれは」
マルコスが、その、姿に、気づき、目を、細める。
「まさか」
微かに、動揺したような、声だった。
「精霊、なのか……!」
その、驚きの、声に、周囲の、護衛たちも、一瞬、動きを、止めた。
「――今のうちに!」
ガインが、その、隙を、突き、鋭く、指示を、飛ばす。
「畳み掛けろ!」
戦況が、大きく、動き始めた。
護衛たちの、動揺に、乗じ、ベタの、精鋭と、ユノたちが、一気に、攻勢を、強める。
「……モチ、頼む!」
レナが、肩の、角ウサギに、声を、かける。
モチが、小さく、頷き、跳躍した。
近づいていた、護衛の、愛獣――鋭い、爪を、持つ、猟犬のような、生き物に、体当たりを、仕掛ける。
「ぎゃん!」
不意を、突かれ、猟犬が、怯む。
「よくやった!」
その、隙に、レナが、風の、刃を、放ち、猟犬を、遠ざけた。
戦いは、激しさを、増していく。
だが、その、中心で。
ウールは、まだ、遺跡の、奥へと、静かに、進み続けていた。
まるで、そこに、何かが、自分を、待っているかのように。
「……ティナ、追って!」
ユノが、剣を、振るいながら、叫ぶ。
「私が、この場は、抑える!」
「うん――!」
ティナが、駆け出す。
戦いの、喧騒を、背に、ウールの、後を、追って。
遺跡の、奥、深く、深く。
その、先に、何が、待ち受けているのか。
まだ、誰も、知らなかった。




