↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[5000PV突破!] 始まりの村と小さな竜  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
70/74

対峙


「……仕方ないな」


マルコスが、静かに、目を、細めた。


「力ずくで、押し通るしか、ないか」


その一言を、合図に。


護衛たちが、一斉に、剣を、抜いた。


「来るぞ!」


ユノが、鋭く、叫び、剣を、構える。


レナが、素早く、杖を、掲げた。


「風よ――!」


淡い、風の刃が、迫る、護衛の一人の、足元を、払う。


体勢を、崩した相手に、ダレンが、素早く、踏み込んだ。


「悪いが、本気で、いかせてもらう」


剣を、打ち合わせる、金属音が、遺跡の、静けさを、切り裂いた。


「マルコス様、まだ、間に合います!」


剣を、交えながら、ダレンが、叫ぶ。


「間に合う、だと?」


マルコスの声が、冷たく、響く。


「私は、五年前から、この日のために」


「全てを、賭けてきた」


「今更、退けと、言うのか」


「五年、費やしたからこそ」


ガインが、別の護衛と、剣を、交えながら、声を、上げる。


「間違いに、気づく、機会は、まだ、ある!」


「間違い、では、ない」


マルコスが、剣を、抜く。


自ら、前に、出てくる。


「これは、必要な、犠牲だ」


ユノが、その、剣を、正面から、受け止めた。


重い、一撃。


腕に、痺れるような、衝撃が、走る。


「必要な犠牲、って」


歯を、食いしばりながら、言う。


「それを、決めるのは」


「あなた、一人じゃ、ないはずだ」


「若造が、何を、知っている」


マルコスの、二撃目が、鋭く、迫る。


ユノは、剣で、それを、受け流しながら、後ろに、下がった。


一方、ティナは、少し、離れた場所から、戦況を、見守っていた。


「……ゾルドさん」


静かに、声を、かける。


ゾルドは、剣を、抜いていなかった。


戦いの、輪の外に、立ち尽くしている。


「あなたは、まだ」


「本当に、戦いたいわけじゃ、ないんでしょう」


「……私、は」


ゾルドの声が、揺れる。


「五年前、フェリオン殿から」


「巻物を、託されなかった、その日から」


「ずっと、迷い続けてきた」


「マルコス様の、考えに」


「一理あると、思う気持ちも」


「本当に、これで、いいのかという」


「疑問も」


「両方、抱えたまま」


その、正直な、言葉に、ティナは、静かに、頷いた。


「迷うのは、悪いことじゃ、ないと思う」


「でも」


戦いの音を、背に、続ける。


「今、選ばなきゃ」


「取り返しの、つかないことに、なる」


その時。


護衛の一人が、隙を突き、レナに、斬りかかった。


「危ない――!」


ティナが、咄嗟に、叫ぶ。


レナは、間一髪、杖で、防いだが、体勢が、崩れる。


「くっ……」


もう一撃が、迫った、その瞬間。


「――やめろ!」


ゾルドが、動いた。


剣を、抜き、護衛の、刃を、弾く。


「ゾルド様……?」


護衛が、驚いたように、声を、上げる。


「これ以上、無関係な人間を、傷つけるな」


ゾルドの声に、初めて、確かな、意志が、宿った。


「マルコス様」


大きく、声を、張り上げる。


「私は……あなたに、従うことは、できません」


その、宣言に、マルコスの、動きが、一瞬、止まった。


「……ゾルド、貴様」


「巻物は、渡しません」


「不完全な、封印解除でさえ」


「多くの、犠牲を、生む可能性が、ある」


「それを、知っていて」


「協力することは、できない」


マルコスの、目に、怒りが、宿る。


「裏切るのか、お前まで」


「裏切っては、いません」


ゾルドが、剣を、構える。


「本当の意味で、あなたを、止めることが」


「五年前、託された、役目だと」


「今、気づきました」


その、決意に、ティナが、小さく、息を、吐いた。


「……ありがとう」


小さく、呟く。


その声は、戦いの、喧騒に、掻き消されたが。


確かに、ゾルドに、届いた気がした。


「――皆、退くぞ!」


マルコスが、鋭く、叫ぶ。


護衛たちが、一斉に、後退を、始めた。


「今日は、退く」


マルコスの、目が、鋭く、ユノたちを、見据える。


「だが、これで、終わりでは、ない」


「満月の、夜まで」


「まだ、時間はある」


「レイナルドが、協力しなくとも」


「別の、方法を、見つけるまでだ」


その、不敵な、言葉を、残し。


マルコスと、護衛たちは、闇の中へと、姿を、消していった。


「……追うか?」


ダレンが、荒い息の中、聞く。


「いや」


ユノが、首を、振る。


「今は、深追いしない」


「それより」


視線を、ゾルドに、向ける。


「話を、聞かせてもらえますか」


「セファルさんの、ことも」


「巻物のことも」


ゾルドは、静かに、剣を、収めた。


「……全て、話す」


「もう、迷いは、ない」


遺跡の前、月明かりの下で。


新たな、協力者を、得て。


五人は、次の、一手を、考え始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。