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[4000PV突破!] 始まりの村と小さな竜  作者:


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帰路


翌朝、荷馬車は、空になった荷台を揺らしながら、ヘルメリアへの帰路についた。


「行きより、軽いな」


レナが、荷馬車の様子を見て言う。


「荷を届けたからな」


ロベルが、機嫌よく答える。


「お前らのおかげで、何事もなく済んだ」


「戻ったら、報酬は、きっちり払う」


道中、特に大きな出来事はなかった。


だが、ユノの頭の中では、隣町で見た光景が、繰り返し反芻されていた。


ヴォルグレン家。


マルコス。


ダレン。


その一つ一つの名前が、少しずつ、イフリルという派閥の輪郭を、形作っていく。


「……ダレンって人、なんか気になるんだよな」


ユノが、歩きながら、ぽつりと言う。


「探るような目、だったっていうやつ?」


レナが、聞き返す。


「ああ。ただの警戒心、って感じでもなかった」


「もっと、何かを、確かめてるような」


ティナも、同じことを、感じていたようだった。


「……もしかしたら」


「あの人が」


「イフリルの、“鍵”なのかもしれない」


その可能性に、誰も、すぐには答えなかった。


だが、否定できる材料も、なかった。


夕方、一行は、ヘルメリアの街に、無事到着した。


「世話になったな」


ロベルが、約束通り、報酬を手渡す。


「また、機会があれば、頼む」


「こちらこそ、ありがとうございました」


ユノが、丁寧に頭を下げる。


商会の人間たちと別れ、四人は、真っ直ぐ、モイストの詰所へと向かった。


「戻ったか」


ガインが、迎え入れる。


その顔には、隠しきれない疲労が見えた。


「監査、明日だ」


「準備は?」


「一通り、整った」


ガインが、椅子に腰を下ろす。


「そっちは、何か掴めたか」


ユノは、隣町での出来事を、順に話していく。


ヴォルグレン家のこと。


マルコスとダレン。


そして、ダレンの、探るような視線。


ガインは、腕を組み、じっと聞き入っていた。


「……ダレン、か」


「聞いたことのない名前だ」


「モイストの、記録にも、残ってないのか」


「調べてみる価値は、ある」


「だが、今は、監査が先だ」


その言葉に、全員が頷いた。


「明日、何が、起きるんだ」


レナが、少し緊張した様子で聞く。


「三派閥の帳簿を、全て、会計室に持ち込む」


「第三者機関が、一つずつ、照らし合わせていく」


「時間は、かかるだろう」


「モイストは、後ろ暗いことは、ないんだよな」


ユノが、確認するように聞く。


「ない、と信じてる」


「だが」


ガインの表情が、少し曇る。


「上の方で、俺の知らないことが、あるかもしれない」


「レイナルド・ウィッシュのことか」


「ああ」


「あの人が、調査に、どう出るか」


「それも、明日、分かるはずだ」


窓の外、ヘルメリアの夜が、静かに更けていく。


明日は、監査の日。


物語が、また一つ、大きく動こうとしていた。


「……今夜は、しっかり休もう」


ユノが、静かに言う。


「明日に、備えて」


四人は、それぞれの部屋へと戻っていった。


だが、誰の頭の中にも、次々と浮かぶ疑問が、渦を巻いていた。


ダレン。


レイナルド。


そして、三つ目の鍵。


すべてが、明日、少しずつ、その姿を現し始めるのかもしれなかった。


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