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[4000PV突破!] 始まりの村と小さな竜  作者:


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疑惑

詰所に戻ると、ガインはすぐに、机の上に紙を広げた。

「……整理しよう。今、分かってること、全部並べる」

順番に、書き出していく。

「一つ」

「五年前、ダリオスが、商業ギルド最高幹部を辞任」

「表向きは、病気」

「同時期に、エルフの里との取引が、白紙になってる」

「相手は、ティナのいた里の、長老」

ティナが、小さく頷く。

「二つ」

「辞任の直前、ダリオスは、旧市街の水路の一部を」

「立入禁止区域に、指定してる」

「三つ」

「その水路の井戸に、古い刻印」

「『封じし者、目覚めぬように』」

「そして、『三つの鍵、揃いし時、封は解かれる』」

「四つ」

「帳簿の暗号に、『眠れる者』『地下深く』という言葉」

「ティナの解読と、井戸の刻印は、内容が一致してる」

ここまでを、ガインは一気に書き出した。

ユノが、腕を組みながら、口を開く。

「……時系列で見ると」

「ダリオスは、辞任する前に」

「この場所に、何かを封じた」

「あるいは、既にあった封を、管理下に置いた」

「そして、それと同時期に」

「エルフの里との取引が、壊れてる」

「関係あると、考えるのが自然だな」

「ああ」

ガインが、頷く。

「取引の内容が、まだ分からない」

「だが、封印と、無関係とは思えない」

レナが、少し不安そうに言葉を挟む。

「石碑にあった、『竜の血、眠る地』……」

「これも、関係あるのかな」

「分からない」

ユノが、正直に答える。

「ただ、気になるのは事実だ」

ラグナルが、机の端で、じっと話を聞いていた。

普段より、静かだった。

「五つ目」

ガインが、続ける。

「セファルは、ダリオスを『悪い意味で』知っている、と言った」

「そして、ベタの人間が、あの井戸を見張っていた」

「『封は、まだ保たれてる』と」

「つまり、ベタは」

「ダリオスの意志を、少なくとも一部、継いでる」

「監視、あるいは管理役として」

ユノが、慎重に言葉を選ぶ。

「セファル自身が」

「その役目を、快く思ってない可能性もある」

「昨日の、あの態度を見る限り」

「……確かに」

ガインが、少し考え込む。

「あいつは、監査を、自分から後押しした」

「もし、ダリオスの味方なら」

「そんなことは、しないはずだ」

「敵じゃないかもしれない、ってことか」

「少なくとも」

「完全な味方でも、ないだろうな」

「六つ目」

ガインが、最後の項目を書き足す。

「暗号にあった、『三つの鍵』」

「ティナの推測では、それぞれの派閥に」

「ダリオスと繋がりのある人物が、一人ずつ、いる可能性がある」

「セファルが、ベタの鍵だとすれば」

「イフリルと、モイストにも」

「同じような存在が、いるはずだ」

「モイストの中に……?」

レナが、少し驚いたように言う。

「可能性は、否定できない」

ガインの表情が、硬くなる。

「上役の中に、探る必要があるかもしれない」

「だが、今は、確証がない」

「憶測だけで、動くのは危険だ」

沈黙が落ちる。

情報は、少しずつ繋がってきていた。

だが、まだ、断片でしかない。

「……ティナの手紙の返事が、鍵になりそうだな」

ユノが、静かに言う。

「取引の内容が、分かれば」

「何が封じられてるのか」

「もっと、はっきりする」

「うん」

ティナが、頷く。

「早く、届くといいけど」

ガインが、書き出した紙を、丁寧に折りたたむ。

「今分かってることは、これで全部だ」

「これ以上は、新しい情報を、待つしかない」

「監査の結果も、まだ出てない」

「イフリルとモイスト、それぞれの中の“鍵”候補も」

「まだ、特定できてない」

「焦らず、一つずつ、だな」

ユノが言うと、ガインも小さく頷いた。

窓の外は、すでに日が傾いていた。

積み重なった情報が、少しずつ、一つの形を作り始めている。

だが、その全貌は、まだ、深い霧の向こうにあった。

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