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[4000PV突破!] 始まりの村と小さな竜  作者:


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待っている時間

手紙を送り出してから、二日が経った。


返事には、まだ時間がかかる。


「……待ってるだけじゃ、落ち着かないな」


ユノが、詰所の椅子に腰掛けながら言う。


「他に、追える手がかりはないのか」


ガインは、机の上に広げた地図を、じっと見つめていた。


「一つ、気になってることがある」


「あの暗号、覚えてるか」


「帳簿の最後にあった、あれか」


「ティナが、『眠れる者』『地下深く』って読んだやつ」


「ああ」


ガインが、地図の一点を指す。


「ヘルメリアの地下には、古い水路網がある」


「今は、ほとんど使われてない」


「街ができる、もっと前からあるものだ」


「……その水路が、何か関係あるのか」


「ダリオスが辞任した後、しばらくして」


「その水路の一部が、商業ギルドの管理下に置かれてる」


「表向きは、老朽化による、立入禁止措置」


「だが」


ガインの目が、鋭くなる。


「その手続きをしたのが、ダリオス本人だ」


「辞任する、直前にな」


部屋の空気が、少し張り詰めた。


「……つまり」


ユノが、慎重に言葉を選ぶ。


「辞任する前に、そこに何かを隠した、あるいは」


「何かを、守るための措置を取った」


「可能性としては、高い」


ガインが、頷く。


「立入禁止区域に、忍び込むのか……」


レナが、少し不安げに言う。


「前回の保管庫より、リスクは高いかもしれない」


「水路の構造も、ちゃんと分かってない」


「地図はないのか?」


「古いものなら、ある」


ガインが、棚から、色褪せた紙を取り出す。


広げると、複雑に入り組んだ水路網が描かれていた。


「これ、正確なのか?」


「保証はできない。百年近く前のものだ」


「今は、崩れてる場所もあるだろう」


ティナが、地図を覗き込む。


「……ここ」


一点を、指で示す。


「暗号にあった、方角と、大体一致する」


「本当か?」


「完全にじゃない。でも……近い」


ガインが、その場所を、地図に印をつけた。


「ここが、目的地の候補、ってことだな」


沈黙が落ちる。


誰もが、次の行動を考えていた。


「……すぐに行くのは、危険だ」


ユノが、慎重に言う。


「地図が古い上に、正確な場所も、まだ確定してない」


「一度、下見だけでもしておきたい」


「入り口の確認だけ、ってことか」


「ああ。無理はしない」


ガインは、少し考えてから、頷いた。


「……分かった」


「水路の入り口の一つが、旧市街にある」


「今は、使われてない井戸を装ってる」


「そこから、様子を見に行こう」


「今日か?」


「いや」


ガインが、窓の外を見る。


日は、もう傾き始めていた。


「明日、明るいうちに動く」


「夜の水路は、危険すぎる」


四人は、頷いた。


宿に戻る道すがら、レナが、ふと呟いた。


「……ティナの手紙の返事と」


「水路の手がかりと」


「どっちが先に、何か分かるんだろうね」


「さあな」


ユノも、分からなかった。


だが、どちらの糸も、確実に、真実へと繋がっている気がした。


夜、部屋に戻ると、ラグナルが、久しぶりに元気よく飛びついてきた。


「悪いな、しばらく構ってやれなくて」


小さな体を撫でると、満足そうに喉を鳴らす。


ウールも、静かに、その傍らに浮かんでいた。


窓の外、ヘルメリアの夜が、静かに更けていく。


明日、旧市街の井戸へ。


新たな手がかりを求めて、四人はまた、一歩を踏み出そうとしていた。

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