↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[5000PV突破!] 始まりの村と小さな竜  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/66

準備


詰所を出ると、ユノは早速、頭の中で計画を組み立て始めていた。


「三日か……」


「短いようで、意外とやることは多そうだね」


レナが、指を折りながら言う。


「まず、調停の日ってどんな場なのか、ちゃんと知っておきたい」


「服装とか、作法とか、失礼があったら困る」


「そうだな」


ユノも頷いた。


冒険者としての振る舞いと、公式の場での振る舞いは、きっと違う。


まずは、ガインに詳しく話を聞くことにした。


「調停の日は、商業ギルド本部の大広間で行われる」


「三派閥の代表と、その関係者だけが入れる」


「俺たちは、その関係者、って扱いになる」


「大丈夫なのか、それで?」


「モイストの客分として、俺が話を通しておく」


ガインが、少し疲れた様子で答える。


「ただし」


「目立つ真似はするなよ」


「特に、その」


視線が、ユノの肩の上――ラグナルに向く。


「……連れて行かない方がいいか」


「絶対に、な」


ラグナルが、心外だとばかりに小さく鳴いた。


「悪いな。今回は留守番だ」


しょんぼりと丸くなる様子に、レナが苦笑した。


服装についても、少し整える必要があった。


普段の旅装束のままでは、さすがに場違いだ。


「……ちゃんとした服、持ってないな」


ユノが、自分の格好を見下ろす。


「私も、旅用のしかない」


レナも同じだった。


「街に、貸衣装屋がある」


ガインが、場所を教えてくれる。


「そこまで豪華じゃなくていい。清潔感があれば十分だ」


四人は、教えられた通りに貸衣装屋へ向かった。


こぢんまりとした店だったが、品揃えは悪くない。


「あら、珍しい組み合わせね」


店主の女性が、四人を見て微笑む。


「冒険者さんが、調停の日に?」


「……分かるんですか」


「この時期にお客さんが来るのは、大体そう」


慣れた様子で、衣装を選んでいく。


ユノには、落ち着いた色合いの上着。


レナには、動きやすさを保ちつつ、品のある一着。


ティナには、体格に合わせた小さめの衣装が用意された。


「……似合ってる、と思う」


鏡の前で、少し照れくさそうにティナが呟く。


「うん、すごく似合ってるよ」


レナが、笑顔で言う。


準備を整えながらも、頭の片隅では、ずっと考えていた。


セファル・オルグレン。


ダリオスとの繋がり。


エルフの、古い文字。


それぞれの糸が、少しずつ絡み合っていく感覚があった。


夜、宿に戻る道すがら、ティナがふと足を止めた。


「……ユノ」


「どうした?」


「調停の日、私も行く」


「もちろん、そのつもりだったけど」


「……ううん」


ティナは、少し俯いた。


「もし、セファルが、本当にエルフと関わりがあるなら」


「私も、聞きたいことがある」


その声には、いつもとは違う、確かな意志があった。


ユノは、しばらく彼女を見つめてから、頷いた。


「……分かった」


「一緒に行こう」


夜空の下、ヘルメリアの明かりが、静かに揺れていた。


三日後の調停の日に向けて、それぞれの想いが、静かに重なり始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。