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[4000PV突破!] 始まりの村と小さな竜  作者:


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異変


翌朝。


ヘルメリアの空は、昨日よりも少しだけ穏やかに見えた。


「……お腹すいた」


レナが真っ先に言う。


「昨日、あんまり食べてなかったもんな」


ユノも頷いた。


宿を出て、大通りを少し歩く。


香ばしい匂いが漂ってきた。


串焼きの屋台。


肉の焼ける音が、食欲をそそる。


「これ、四本ください」


レナが元気よく注文する。


店主が、慣れた手つきで炭火から串を取り出す。


「毎度! ヘルメリア名物、岩塩焼きだよ」


パリッとした音とともに湯気が立つ。


「……美味しい」


ティナが小さく呟く。


普段あまり感情を表に出さない彼女が思わず頬を緩めた。


ラグナルも匂いに反応して肩の上でそわそわしている。


「お前も食べるか?」


小さく一切れ分けてやると勢いよく食いついた。


満足そうに喉を鳴らす様子にレナが笑う。


「ラグナル、本当に食いしん坊だね」


「……昨日の今日だからな」


ユノも、少しだけ気が緩むのを感じた。


倉庫での緊張がまだ体のどこかに残っていた。


こういう時間が思ったより効く。


しばらく歩くと、露店が並ぶ通りに出た。


「見て、この布……綺麗」


レナが足を止める。


異国風の織り模様。


「ヘルメリアは交易の街だからな」


「いろんな国のものが集まる」


店主が愛想よく声をかけてくる。


「お嬢さん、それ北の国の織物だよ。寒い地方の柄は、こっちじゃ珍しいだろう」


「へえ……」


レナが布地を広げて見入る。


ティナは少し離れた場所で薬草を扱う店を眺めていた。


「……これ、傷薬になる」


小さな束を手に取る。


「買っておく?」


「うん」


数枚の銅貨を払い袋に詰めてもらう。


「最近、こういうの多く出てるんだよ」


薬草屋の店主がふと漏らす。


「……多い?」


ティナが顔を上げる。


「怪我人が増えてるんだろうね。ここ最近街の空気もどこか荒れてる」


それ以上は店主も詳しくは言わなかった。


ただ忙しなく次の客の対応に戻っていく。


ティナは小さく袋を握りしめた。


日常のなんでもない時間。


だが、その中にも街の変化がわずかに滲んでいた。


ユノはそれに気づいていた。


だが、今はまだ何も言わなかった。


もう少しだけ、この時間を続けたかった。


「……そろそろ、ギルドにでも顔出すか」


「そうだね」


四人は緩やかに歩き出した。


だがその足取りは、来た時よりも少しだけ慎重だった。


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