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[4000PV突破!] 始まりの村と小さな竜  作者:


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緊迫感

扉が、ゆっくりと開いた。

「――誰だ」

赤の腕章の男が、鋭い声を上げる。

ユノは前に出た。

「ただの冒険者だ」

「荷物運びを手伝ってただけでな」

平然と言う。

男の目が、疑わしげに細まる。

「……冒険者が、なぜここに」

「仕事だ。文句あるか」

ガインが後ろから、さりげなく箱の位置をずらす。

檻は、すでに視界の外へ。

男は倉庫の中を一瞥する。

積まれた木箱。

埃っぽい空気。

「……確認する」

「好きにしろ」

ユノは動じない。

内心、心臓が跳ねていた。

裏口では、レナとティナが子供を連れて動いているはずだ。

時間を稼げば稼ぐほど、いい。

男が箱に手をかけようとした、その時。

「――おい」

別の声。

外から、もう一人の男が顔を出す。

「戻るぞ。次の区画に予定が入ってる」

「……だが」

「時間がない。行くぞ」

舌打ちする男。

ユノを一瞥し、低く言う。

「……次は見逃さない」

そのまま、仲間と共に去っていく。

足音が遠ざかるまで、誰も口を開かなかった。

「……行ったか」

ガインが小さく息を吐く。

「ああ」

ユノも、詰めていた息を吐き出した。

ラグナルが、肩の上で小さく鳴く。

安堵の声のようだった。

裏口の戸が、静かに開く。

レナとティナが戻ってきた。

子供の姿はない。

「……無事に?」

「うん」

レナが頷く。

「近くの、信頼できる人に預けてきた」

「詳しいことは、また今度話す」

ティナは、まだ少し表情が硬かった。

だが、その目には確かな安堵があった。

ガインは、腕を組んで壁にもたれた。

「……借りができたな」

「いや」

ユノが首を振る。

「これは、俺たちが選んだことだ」

「借りとかじゃない」

ガインは一瞬、意外そうな顔をした。

そして、少しだけ笑った。

初めて見せる表情だった。

「……お前、変わってるな」

「よく言われる」

外は、まだ日が高い。

だが、ヘルメリアの空気は、もう先ほどまでとは違って見えた。

商業ギルドの派閥争い。

赤のイフリル。

青のモイスト。

黒のベタ。

その中心に、いつの間にか足を踏み入れていた。

「……これで終わりじゃないよな」

レナが呟く。

「ああ」

ユノは、遠くの街並みを見つめた。

「まだ、始まったばかりだ」

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