表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
始まりの村と小さな竜  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/32

レオ

その日の朝。

 タブリスのギルドは、いつもより少し静かだった。

 まだ人もまばらで、椅子に座っているのは数人程度。


 その中に、レオの姿があった。

 腕を組み、落ち着かない様子で座っている。

 視線は何度も入口へ向く。


「……落ち着きねえな」

 低い声が、横からかかる。


 顔を上げる。

 そこに立っていたのは、昨日ユノがすれ違ったあの男だった。


「……あんたか」

 レオが軽く息を吐く。


「なんだ、その顔は」

 男は鼻で笑う。


「別に」

 レオは視線を逸らす。


 男はそのまま、向かいの椅子に腰を下ろした。


「剣、打ったか?」

 唐突な一言。


 レオは一瞬だけ言葉に詰まる。


「……まだだ」

 短く答える。


「親方が許してくれねえ」


 男はしばらく何も言わない。

 ただ、じっとレオを見ている。


「……なんでお前が、あんなのについていくのか分からねえ」

 ぽつりと呟く。


 その言葉には、少しだけ苛立ちが混ざっていた。


「腕なら、もっといい環境もあるだろう」

「名前も、評価も、すぐ手に入る」


「なのに」


 視線が鋭くなる。


「なんで、あんなとこにいる」


 レオは、少しだけ黙った。


 視線を落とす。


 それから、ゆっくりと顔を上げた。


「……俺が納得できるからっすよ」


 短い言葉。

 だが、はっきりしていた。


「……」

 男は何も言わない。


「他のやつがどう思おうが関係ねえ」


 レオは続ける。


「俺が、あの人の下でやりたいって思ってる」


 それだけだった。


 しばらくの沈黙。


 やがて、男は小さく息を吐いた。


「……変わったやつだな」


 立ち上がる。


「まあいい」


 背を向けながら、言う。


「そのまま腐るなよ」


「……腐りませんよ」

 レオが答える。


 男は振り返らない。

 そのままギルドの奥へと消えていった。


 レオは一人、椅子に座ったまま。


 小さく息を吐く。


「……うるせえっての」


 そして、もう一度入口を見る。


 その視線の先には――

 まだ来ていない、仲間の姿があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ