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始まりの村と小さな竜  作者:


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14/32

洞窟の奥

翌朝。

 冷たい空気の中で目を覚ますと、すぐに現実が戻ってきた。

 今日は戦う日だ。

「……行くか」

「うん」

 短いやり取り。それだけで十分だった。

 荷物をまとめ、洞窟へ向かう。

 昨日見た岩場の奥。ぽっかりと口を開けた暗闇が、静かに待っている。


「……ここだな」

「ちょっと、怖いね」

 レナが小さく言う。ユノも同じ気持ちだった。

 だが、足は止めない。

 一歩、中へ。

 光が一気に減り、空気がひんやりと変わる。

 足音が、やけに響いた。


「……静かだな」

「うん」

 ゆっくりと進む。視界が狭くなる。

 耳を澄ます。

 ぬちゃ、と。

 足元で小さな音がした。

「……?」

 見ると、小さな塊が地面を這っている。

 半透明で、ぶよぶよした見た目。


「……スライム?」

「たぶん」

 こちらに気づくと、ゆっくりと近づいてくる。

 動きは遅い。危険な感じはしない。


「……やってみるか」

 ユノが棒を構える。

 軽く振る。

 ぺちゃ、と鈍い音がして、スライムが崩れた。


「……弱いな」

「うん。でも、油断しないでね」


 もう一体。今度はレナが石を投げる。

 当たって同じように崩れる。


「……これなら」

「いけそうだね」

 少しだけ、肩の力が抜ける。


 さらに奥へ進む。

 スライムは何体かいたが、どれも同じだった。

 遅くて、脆い。問題にはならない。


「……あれ」

 レナが壁を指差す。そこには、わずかに光る石が埋まっていた。


「鉱石か」

「クエストのやつ?」

「たぶんな」


 近づいて確認する。表面が少しだけ光っている。

 手で触れると、ひんやりしていた。


「取れそうか?」

「やってみる」

 近くに落ちていた石で、軽く叩く。

 コツン、と音が響く。

 少しずつ、欠ける。


 何度か繰り返すと、手のひらサイズの塊が外れた。

「……取れた」

「おお」

 思っていたより簡単だった。


「これ、結構いけるんじゃないか」

「うん、集めよう」


 二人で壁を探しながら、少しずつ鉱石を集めていく。

 スライムも時々出てくるが、もう慣れていた。


 袋の中が、少しずつ重くなる。

「……これくらいあればいいかな」

「もう少しだけ――」


 そのときだった。


 ――ズズ、と低い音が、奥から響いた。


「……止まれ」

 ユノが小さく言う。

 手が止まる。


 音が、また響く。さっきよりも、はっきりと。


「……何かいる」

「スライムじゃないね」

 レナの声が、少しだけ硬くなる。


 暗闇の奥。何かが動いている。

 ゆっくりと。だが、確実に。


 影が、近づいてくる。


「……来るぞ」

 ユノが構える。呼吸が、浅くなる。


 そして。岩陰から、それは現れた。


 巨大な体。岩のような皮膚。

 うねる長い体。


「……でかいな」

 思わず漏れる。


 ロックワーム。


 ゆっくりと、こちらに頭を向ける。

 その目が、わずかに光った。


 空気が変わる。さっきまでの余裕は、一瞬で消えた。


 ロックワームが、口を開く。


「――下がれ!」


 次の瞬間。

 巨大な影が、こちらに動いた。


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