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始まりの村と小さな竜  作者:


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11/32

どんなのがいいんだ?

工房の外に出ると、張りつめていた空気が一気にほどけた。


「……はぁ」


 レオが大きく息を吐く。


「相変わらずだな、師匠」


「すごかったね……」


 レナが少し苦笑する。


 中の空気は、外とはまるで別物だった。


「でもさ」


 レオが顔を上げる。


「完全にダメって感じじゃなかったよな」


「……ああ」


 ユノもうなずく。最後の言葉。


 “勝手にしろ”。


 あれは、完全な拒絶ではない。


「材料さえあれば、どうにかなるかもしれない」


「だよな!」


 レオの表情が少し明るくなる。


 少し歩きながら、自然と話が始まる。


「で、どんな武器にするんだ?」


「……剣だな」


 迷いはなかった。


「今も棒みたいなもんだし、それに近い形の方がいい」


「なるほどな」


 レオが腕を組む。


「長さは?」


「片手で扱えるくらい」


「重さは?」


「重すぎるのは無理だな。まだ振り切れない」


「じゃあ軽めで、バランス重視か」


 ぶつぶつと呟きながら考え込む。


 さっきまでの抜けた雰囲気とは違う。明らかに、集中している。


「防御はどうする?」


「盾は別で持つ」


「……じゃあ剣はシンプルでいいな」


 レオがうなずく。


「変に特殊なもんより、振りやすい方がいい」


「それでいい」


 少しの沈黙。


 そのあと、レオがぽつりと呟く。


「……ちゃんと作れたら、絶対強くなるぞ」


 その声は、小さかったけど真剣だった。


 レナが横から覗き込む。


「私のはどうしよう」


「レナは……」


 ユノが少し考える。


「まだ前に出る感じじゃないよな」


「うん」


「なら、軽い武器か……杖か」


「杖?」


「魔法使うなら、その方がいい」


「……魔法?私まだうまく使えないよ?」


「俺の勘がそう言ってるんだ。」


 レナが納得したようにうなずく。


 レオは少しだけその様子を見ていた。


 何か考えているような顔。でも、それは口には出さなかった。


「とりあえず」


 レオが話を戻す。


「材料だな」


「どんなのがいる?」


「まずは金属」


 指を折りながら説明する。


「質のいい鉱石。あと補助素材」


「補助?」


「強度上げたり、バランス整えたりするやつ」


「簡単に手に入るのか?」


「いや、無理」


 即答だった。


「だからクエストだな」


 三人で顔を見合わせる。自然と、同じ結論にたどり着く。


「……やるしかないか」


「うん」


「決まりだな」


 再びギルドへ向かう。


 街は昼に近づき、さらに賑やかになっていた。


 人の声、足音、商人の呼び込み。その中を進む。



 ギルドの扉を開ける。


 中の空気は、昨日よりも少しだけ慣れていた。


 掲示板の前に立つ。


「ブルー……この辺か」


「少し難しいやつだね」


 紙を見ながら、内容を確認する。


「鉱石採取と討伐の二重クエストか……場所は街の外の小さな洞窟」


「距離もあるね」


 ユノは一枚を手に取る。少しだけ、重みを感じる。


 最初のクエストとは違う。


「これにする」


「……大丈夫?」


「分からない。でも」


 少しだけ笑う。


「やらないと、始まらない」


 レナもうなずく。


「うん。一緒にやろう」


 レオがその様子を見て、小さく笑った。


「いいな、それ」


「何がだよ」


「いや、なんでもねえ」


 軽くごまかす。


 受付にクエストを持っていく。


「こちらでよろしいですか?」


「はい」


「お気をつけて。少し距離がありますので、準備はしっかりと」


「分かりました」


 ギルドを出る。街の空気が、少しだけ違って感じる。


「……次は、外だな」


 ユノが言う。


「うん」


 レナが並ぶ。


 レオは少しだけ後ろで立ち止まった。


 その背中を見ながら、何かを考えている。


 だが、その言葉は出さない。


「……じゃあな」


 軽く手を振る。


「気をつけろよ」


「そっちもな」


 ユノたちは歩き出す。街の出口へ。


 少し難しいクエスト。遠くへの移動。


 初めての本格的な冒険。


 その先に何があるのかは、まだ分からない。


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