21 アタシの護衛は世界一かも?
アルルが召喚したドラゴンゾンビはアタシ達2人を敵と認識したのかコチラを警戒しているが様子を伺っているのかその場からは動こうとはしない。
シースから隠蔽でも隠しきれないオーラでも感じ取ったのかな?
アルルは勝利を確信したのか、何やらシースに向かって自分がいかに優れているかを自慢し始めた。
「私が使役する魔物の中でも最上級の一匹先程の雑魚どもとは見てのとおり違うわ、シース貴女はなかなか強かったけど…ドラゴンゾンビは勝てませんわね」
「そう思う?」
「負け惜しみですの?まぁ、良いですわ小娘この黒霧をなくす方法を教えて差し上げます」
「気前が良いんだね」
「私の後にある教会の中にエリーが使用したマジックアイテムであるコアが有ります、それを壊すだけ簡単でしょう?でも、ドラゴンゾンビを倒さないと教会には入れませんけども」
何が可笑しいんだか高笑いまで始めたんだけど……気づいて無いみたいだし、暫くほっておこう、アタシは大人しくしているよ。
「では、シース生きていたらまた遊びましょうね」
カナギとか言うやつと同じマジックアイテムを取り出し転移しようとしたが、何故かマジックアイテムが作動しないみたい。
焦りを感じ始めたのかマジックアイテムに必死に魔力を流すが反応無し。マジックアイテムが壊れたと勘違いもしているようだがそれは違うんだな、犯人はシースだから。
シースが張った罠に気づいて無かったみたいだし、この女も大したことがないと…何か力抜けちゃうよね本当に。
「ねぇ、何時になったら私の前から消えてくれるのかしら?アルル?」
「何を……何おしたの⁉」
「今頃気づいたのね、私ね結構温厚な方なのよただ自分の主人馬鹿にされて大人しくしてられる程の阿呆でもないの!!覚悟なさいなアルル、本当の召喚と言う物を見せてあげるわ!!」
馬鹿なアルル、シースがアルルに何かをしたのでは無く、この空間自体にシースが干渉した事を気付けなかったんだね。
シースのアルティメットスキル、亜空間。中に入った時から、カナギとアルルに気づかれないよう少しずつ侵食していたシース。残念なことにカナギには逃げられちゃったけど、アルルを閉じ込める事には成功。
シースの亜空間はアタシの神々之庭園と少し似ていて、この空間に入ると外の世界とは遮断されて、空間の主に逆らう事は不可能な絶対空間。
勿論転移魔法やマジックアイテムは使用できるはずもない。
要するに、この空間の主は現在シースと言うこと、黒霧の元のマジックアイテムごと亜空間に飲み込まれたから、今頃街では魔物の出現も無くなって、精霊や妖精も苦しみから開放されている事でしょう。
さて、シースの眷属召喚が終了したみたいだけど何か召喚陣から凄いの這い出て来たけど……。
(ねぇテウト、アレってオーバーキルに入らないの?)
《入ると思われます。AランクのドラゴンゾンビにたいしてアレはSSランクのバハムートですので》
(シース怒らすのも怖いから気お付けよう)
「嘘よ!何で人間なんかがこんな化物を!!!!」
「本当に貴女はお馬鹿さんなのね、私ヴァンパイアよ。人間からデーモンになった貴女と違ってね」
「えっ…」
「どんな馬鹿でも鑑定スキル持っているんでしょう?特別に私のステータス覗かせてあげるわ、見てご覧なさいな」
「そんな、嘘よ………始祖のヴァンパイア……なんて……」
「貴女もカナギとか言う奴と逃げて居ればこんな事になる事は無かったかもしれないわねぇ」
「この、オカマ野郎がーーーーー!!」
逆ギレして無差別にシースとアタシを狙って魔法を放つけど、シースの結界に阻まれてアタシ達に全然届いていない。
アルルが召喚したドラゴンゾンビはシースが隠蔽スキルを解いたと同時に放つ凶者のオーラに当てられて動く事すらしない、主人よりもアイツの方がお利口だったね。
アルルが暴走している間に、シースが召喚したバハムートのブレスの準備が整ったみたいだし、もう終わりかね。
「それじゃあ、そろそろお別れかしらね」
「わっ私を殺したら、ゲルドフ様の情報が手に入らないわよ!!!」
「心配しないで、亜空間内では全てが私の自由なの、空間だけでは無くて取り込んだ物は全てが私の思うがまま。身体や魂すらも…ね。だから、死んでからでも聞き出せるわ」
「そんな、そんな!!!」
「ご機嫌よう。また後でな小娘」
バハムートのブレスがドラゴンゾンビごとアルルを包み込み、ブレスを吐き終わった後には、ドラゴンゾンビもアルルも教会すらも無くなっていた。
勿論教会内にあった黒霧の原因のマジックアイテムも一緒に吹き飛んでいた。
というか、シースさん最後素では無かったですか?
男前なシースさんも非常にカッコよかったです。
「やれやれコレで一段落ねぇ」
「アルル本当に大丈夫なの?」
「えぇ、知っている事全部吐き出すまではこの空間から逃げる事は出来ないし、あの娘には専属の拷問……、尋問官を付けるから大丈夫」
「シース言ってから言い直しても意味ないよ」
「ホホホ失礼。まぁ、この空間の恐ろしさ身に染みてわかるでしょう」
シースはバハムートを返すと新しい眷属を召喚したんだけど、こちらの方物凄く、いかにもな方なんですが!!
黒いローブを着て、ローブの中は骸で巨大な鎌を持った悪魔デス・ロードを召喚したんですけどこの方。
物凄くいい笑顔で指示を出してるし、アルル直ぐに全部喋るんじゃないの?
「キラ帰りましょうか、カルマとセルジオが心配してるわ」
「アタシ結局何もしてないんだけど…」
「そう?まぁ、怪我も無かったし良かったって事で良いんじゃない
亜空間から出ると、騎士団の駐屯所の前にでた、そして待ち構えていたのは…目尻に今にも零れそうな涙を溜めたカルマパパと原型のままのセルジオさんだった。
カルマパパは感極まって抱きついてきたけどね。
「ギラァァァァァぢゃん!!ババ、ジンパイじだよぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「大丈夫、シースに守って貰ったし……パパ苦しい」
『お嬢様無事で安心しました、シースもご苦労様でした』
「思ってたよりも雑魚だったわ、原因も潰したしもう心配無いわ」
「ほならギルドと騎士団の方に連絡入れに行ってくるわ」
「あら、居たのねオペラ」
「今来たんや報告しに来たんやけど、カルマ今使い物にならなそうやし、後ででえぇやろ」
「ババ、じんばいで、じんばいで!!!」
「わかった、わかったよゴメね」
カルマパパ達は避難誘導をしている途中で、黒い霧と魔物がいきなり目の前で消滅した事により、避難を中断。
現況に何か異変が起きたと思い、その場の指揮ををマニカとクルスに任せて騎士団駐屯所に来たが、駐屯所は元どうりにあって黒い霧も魔物も居ない状況だった為待つしか出来なかったんだそうでこの状況って訳です。
こうして、街中を巻き込んだ事件はシースのお陰であっさり解決したんだけど、カルマパパ達は事後処理に駆り出されて大忙し。アルル達の報告は事件終息後の7日後にギルマスのマニカ、サブマスのゾフィスの2人を侯爵家に招き話し合いの席が設けられた。
あの事件での死者はゼロ、怪我人は出たものの人も精霊も妖精も全員が無事である。精霊と妖精にはまだ体が動かしにくと言う者も居たが大半が回復している。
騎士団の牢に捕らえていた伯爵親子は何者かに殺されていて牢の中で遺体で発見されたそうだ。恐らくアルルかカナギの仕業だろうね。
「頭が痛いよ、あたしは……こんなデカイ事になっているとは……」
「ギルド側からも王都の本部に報告の後に各地に警告を出しませんと」
「カルマが関わるとろくなことが無い。本部のアイツもこの話聞いたら頭抱えるよ」
「マニカ酷くない!!私今回何もしてないよ!!それに、エリーの事件持って来たのはそっちでしょ!!」
「変な事件は変な奴の所に集まって来る…類は友を呼ぶとは言ったもんさね!!」
「だから、私は悪くないの!!文句ならロザンダに言いなよ!!」
気のしれている中のマニカさんと、カルマパパだんだん違う方向の話にまで発展してるけど……あっ、セルジオさんが止めに入った。
「今回の件はもはや冒険者同士の話では無く、国同士まで話しが拡大している大事件。今はその大事件の報告及び対策会議中です。邪魔をするなら殴りますよ」
「殴ってから言わないでよセルジオ……」
「なんで、あたしまで……」
「ともかく、今アルルから絞り出した情報は2つゲルドフには精霊か妖精の上位種が力を貸している事、そして奴はまだロザンダ国の何処かに潜伏していること」
「何処におるかわからんのか?」
「そこをまだ吐かないのよ、中々にしぶといわ」
「でも、情報がそこまで揃っているなら大丈夫かな、オペラ悪いんだけど行ってくれるね」
「ロザンダに潜入せぇ言うんやろ」
「お願いね!私は王都に行って国王陛下に報告しなきゃだから」
「ヘイヘイ、姫さんの護衛もなくなってもうたし、行かせてもらいます」
今回の件で、シースに任せておけば天使は安全!!全て大丈夫!!と言うお墨付きがついて、オペラの護衛はお役目ごめんになってしまっていたのです。
落ち込んでは居たけど、元々暗部のオペラは一人のほうが何かと仕事がしやすいようで、会議の後直ぐにロザンダに向かって行ってしまった。
「姫さんに新しい魔導具もろたし心配せんで待っててな。お土産買ってくるさかいに楽しみにしててや〜」
オペラらしい軽い出発だったのが印象的だ。
アタシが言い渡された事は、新しい情報が入るまではシースから離れない限り好きにして良いとのお許しが出たので、暫く休んだらまた動き出そうと思います。




