良い子の魔法の入門書が伝えること
「えっ!? そうなの? ケチだなぁ〜神様」
「えっ!? えぇぇぇぇぇっ!? グラビィさんっ!? 神様にそのようなことを…」
魔導車両で一番下っ端のヘリトリスは、グラビィの発言で先輩が怒らないか、気が気ではない。
グラビィは考える。確かに…『幾度と繰り返される』と条件っぽいことが、書いてあるけど…。本当にそれだけなのか? と…。魔法なんだから、何度も繰り返すのは、当たり前であり…。ならば、神様を意識するのか? 神様に魔法を使うことって…あるのかな?
『ブースト・カプセル』ウルティメイト版を込めた大事な樫の木の大杖を両手に持つ。『奇跡はイメージであり、発現の成功率は信じる心である。』ならば…。
「神様の持つ設計図を【引力】の魔法で…手元に持ってくるイメージだよね」
「「「「きゃぁぁぁぁぁっっ!?」」」」
グラビィが『ブースト・カプセル』ウルティメイト版を込めた魔法を発動させると、魔導車両内が七色の光で溢れる。そして、驚いたヘリトリスたちが叫び声を上げる。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!」
グラビィのサファイヤの様に透き通る瞳が…左の瞳だけ金色に変わる…。額には血管が浮かび上がり…大事な樫の木の大杖も釣り竿並にしなり…パキンッっと折れてしまった…。
「あぁぁぁぁぁっ!!! わ、私の大事な樫の木の大杖がぁっ!!」
大騒ぎするグラビィのもとに、デフォルメされた狐のぬいぐるみのような、魔導車両・総責任者のエリリタさんが、駆け寄り…その姿…その瞳に驚愕する!!
「グラビィさん!? そ、その瞳…【神々の金の設計図】では…ありませんか!!!」
グラビィの瞳は、不思議なほど透明で金色に輝く…。瞳の中には立体的な…大量の魔法陣がグルグルと縦横無尽に不規則な回転を続け、大小様々な歯車や星々が、魔法陣から生まれている。
良い子の魔法の入門書を立った1ページ呼んだだけで、魔法の真理にたどり着いたグラビィ。それは人類の歴史が刻まれてから…3人目の大魔導師の誕生であった。一人目は…この世から邪神や魔王と呼ばれる神々や人間の敵を滅ぼしたとされる大英雄。二人目は、つい最近まで生存していた…数々の発明品と世の中の仕組みを世に送り出した偉大な錬金術師である。
しかし、当本人であるグラビィは、折れた大事な樫の木の大杖を両手で抱え、涙目である。
「い、今の…グラビィさんなら…折れた杖も…くっつけられるのでは!?」
ヘリトリスが恐る恐る…グラビィに聞いてみた。
「ぐっすん…。大魔導師を目指す…私なら…出来るかも…」
「「「「「いやいや…もう、大魔導師だから!?」」」」」
グラビィは指先から…小さな引力の玉を創り出すと、折れた部分に挟み込むように入れる。すると、折れた大事な樫の木の大杖は…ヒビが痛々しく残ったが、ピタリとくっついてしまったのだ。
【引力】の根源と言える魔法の力をあり得ない力場で凝縮し、永久回路で魔力を循環させ、星を吹き飛ばすほどの危険を込めた…それを神々の結界で封印し…接着剤代わりにする…。なんとも…大魔法の無駄遣いである。
「直った!!」




