グラビィを守れ!!
デフォルメされた狐のぬいぐるみのような、魔導車両・総責任者のエリリタさんは、胃に穴が開いた。開きそうではなく、開いたのだ。そして、すべての責任をトランスコンチネンタルキャラバン、総司令ギルスパークに擦り付ける。
「という訳です。が…。開いた時間に魔導車両で魔法を学習させようと言ったのは、総司令ですよね? 言いましたよね? 忘れてませんよね?」
「ははは…。まさか…本当に大魔導師になるとは…。まだ二日目だぜ?」
「ははは。じゃない。どうするんだよ? どんなに情報の流出を抑えても…すぐに世界に知れ渡るぜ?」
青い隠密用ローブを纏った男ホルダーは、顔を両手で覆い…これから発生するであろうトラブルに頭を悩ませていた。
「まずは…警備だ。あのチンチクリンは、何も考えていない。それどころか、感情のコントロールが出来ていない。例えば、姉妹に何かあれば、カッとなって…月を地表に引きずり落としかねんぞ?」
「笑えねぇ…。ジーク。そういうのは、フラグって言うんだぜ?」
ギルスパークは、簡単に想像できてしまい…背中に嫌な汗をかいた。
「エリリタ。グラビィの魔法を抑え込むことは可能か?」
青い隠密用ローブを纏った男ホルダーは、答えがわかりきったことを、魔導車両・総責任者のエリリタさんに尋ねる。
「無理に決まっています。それこそ生まれてもいない4人目の大魔導師にでも頼む案件ですよ」
「なら…方法は、一つしかねぇな…」
まったくド素人な犬亜人の少年のワンダは、何故? 俺が…ここに呼び出されたのか? 不思議でならなかった。簡単な話…倉庫車両Eの総責任者ジルが逃げただけである。しかし…途中で、会話を止めた総司令が、黙ってこっちを見ているのが…気になる…。嫌な予感が…。
「頑張れよ」と弾けそうな筋肉の上にタンクトップのジーク。
「責任重大だな」と 青い隠密用ローブを纏った男ホルダー。
「この星を死の大地にしないでくれよ」と黙っていた テンガローハットのレーズ。
「可愛い子でよかったわね」と魔導車両・総責任者のエリリタさん。
次々と、主要メンバーがワンダの肩を叩きながら、指令車両の司令室を退出していく。そして、ランスコンチネンタルキャラバン、総司令ギルスパークと二人きりになる。
「えっと…だな。お前でも大魔導師がどんな者か知っているだろ?」
「は、はい…」
「大魔導師になったグラビィが、この世界を…どんな…世界に変えるか…まったくわからん。だから…お前が彼氏となって、彼女を支えてやれ…。総司令の権限で強制的に二人を恋人にしてやる」
「は、はいっ!?」
「実は…嬉しいだろ? グラビィ可愛いもんな。正直に言え。これは命令だ。一目惚れだろ?」
「ず、狡いですよ…。う…。は、はい…。ひ、一目見たときから、か、可愛いと思いました…」




