第二十八話 都主
カロナが新たな契約者になってから数刻後、僕らは騒がしくなった街に向かって報告をした。
ーμεγάφωνοー
「都主の皆様、聞こえますでしょうか。聞こえたら、都主城前広場までおいで下さい」
カロナはディアの手下として都民を呼び出した。…今カロナはどんな気持ちで言ったんだろう。
カロナの呼びかけから間もなくして、多くの都民が城の前に集まった。前のカロナの演説のときよりもやや少なく見えるのは、都主殺しの容疑者として逃げている奴らがまだいるからだろう。
「何度も皆様をお呼び出しする事となってしまい、申し訳ありません。…本日は私からではなく、彼から連絡がございます」
そこまで言うと、カロナは肩の力を抜いて、大きく息を吐いた。
「どうも、ヴィントス街の皆さん。私はディアボリ=オーミデュマと申します」
ディアはカロナと入れ替わるように前に出て話し始めた。
「突然ですが、本日から私がこの街を支配する事になりました」
一様にざわつく都民たち。しかしディアは気にせず話を続ける。
「都主様を殺したのも私です。…ですが、私としては、皆様に何か特別な事をして頂くつもりはありません。ただいつも通りに暮らして頂ければ結構です」
都民たちはこの言葉で黙り込んでしまった。恐怖でものが言えなくなっているのか、それとも驚いて声も出ないのか。
「私が、この街の新しい都主です」
それは、ヴィントス街に新しい歴史が刻まれた瞬間だった。




