休日の服装
暑い……
最近は涼しかったのに、なんで今日は暑いの。休日に遊ぼうなんて言わなきゃよかった。
と思ったのは、久保さんの家に入る前。
リビングに入ると、クーラーがよく効いていた。
「あ〜〜すずしいな〜〜」
「それは良かった」
「ねぇ。ほんと……うぇーー」
思わず、変な声が出た。
「拓くん、どうしたの?」
「どうしたのじゃないでしょ。どんな格好してるの」
久保さんは見る限り、大きなTシャツ一枚とメガネ。
「大丈夫だよ。長いTシャツだから下は見えないよ」
完全に休日モードじゃん。
「つまり、下は?」
「一枚だけ」
その即答に、僕は頭を抱える。
「あのねぇ、僕みたいな理性の効く男の子だったから良かったけど、世間は許してくれいやぁせんよ」
「私はこの格好で行く。あ、不安だったら見る?」
「僕のどこを見て不安なの?」
久保さんはゲームを準備する。
お、生足。
違う違う。散々スカートで見慣れてるのに、なんで家だとこんなに神秘的に見えるんだろう。
こんなことになるなら1発……ん?
「あれ、久保さん。このデニムは?」
「ん?さっきまで履いてたやつ」
「しまいなさい」
「面倒じゃん?」
「しまうか、僕の見えないところに置きなさい」
久保さんは口を尖らせながら、足でデニムを滑らせて遠くにやる。
「こら。粗末に扱わない」
「はーい……」
*
「いい勝負だった」
戦士みたいな言葉を言って久保さんはゲームの電源を切った。
ゲームが終わるってことは、また久保さんの格好が目に入るってことか。
「あ、拓くん。私の部屋行かない?漫画動画見ようよ」
「えー。でも」
「でも?何?」
「うーん……僕の理性が持たないっていうか……」
「理性が持たない?拓くんでもそんなのあるんだ」
「まぁね」
「ふーん。ちょっと嬉しいな」
「え?」
「私を女の子として見てくれるなんて……」
「……ね。それなら、危険性がわかったでしょ?」
「でもやめなーい」
久保さんは開き直って言う。
僕に足を向けて転がる。
「私はこの格好が心地いいし」
あぁ、いい意味で分からせるしかないか。
勇気を振り絞って、僕は久保さんに覆い被さる。
「え……」
「怖いでしょ?こんな風に、何をされるのか分かり切ってる怖さ……だから、そういうのはやめて」
その時だった。
「あゆかー。今日、暑くないかー?……あ」
背の高い若葉さんだから、僕たちの状況がよく見えた。
しかも、視野が広いから彼女が放ったデニムも見える。
「おいおい。ずいぶん本格的だな」
「いや、若葉さん。違うんです。久保さん、薄着すぎて……ほら、百聞は一見に如かずで……」
ダメだ〜。もう、言い訳にしか聞こえないんだけど。
「あー、うん。もう、いいから。体力があれば私も混ぜろよ。部屋いるから」
そう言って若葉さんはリビングを出ていってしまった。
「申し訳ありませんでした。深くお詫び申し上げます」
僕はソファーから降りて、思いっきり土下座をした。
「いや、薄着の私が悪いんだし……」
「まぁ、半々……喧嘩両成敗だね」
「じゃあ、これからはショートパンツ履くね」
「んー。それでもいいや」
それから、若葉さんが入ってきた。
「あれ?もう終わったのか。そうろ」
「若葉さん。そもそも、始まりも終わりもありませんから」
「えー、せっかく準備してきたのに……」
「それ、どう言う意味ですか?」
おまけーー
「そもそも、準備ってなんですか?」
「まず、オ」
「ダメですよ、全年齢想定が崩れますから」
「“準備”を見たい人はメンバーシップで!」
「メンバーシップありませんからね?」




