↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
86/117

森川拓の逆襲(?)

「久保さーん?」

 おかしいな。久保さんが着替えに行ったきり、部屋から出てこない。

「んー」

 どうかしたのかな?もしかして、倒れてたり?でも、それだと彼女の部屋の下には若葉さんがいるから、音で気づくはずなのに。

「どうしたー?拓」

 若葉さんが出てきた。

「あ、若葉さん。久保さんが部屋から出てこないんです」

「ほーう」

 若葉さんの目は、いたずら心が宿っていた。

「あの、若葉さん。何か知ってるんですか?」

 ニヤニヤと若葉さんは笑っている。

「あぁ……でも、言わないでおこう。それより」

「はい?」

「1週間前だったかな。私と歩果にドッキリさせられただろ」

「はい……心配して損しました。なんだかんだで、若葉さんの謝罪を聞いてないんですけど……」

「さぁな」

 とぼけたように、若葉さんは言った。

「まぁ、意趣返しで拓もドッキリをしないか?」

「……え、僕って嘘つくの苦手ですよ」

「大丈夫だ。拓はいつも通りに話してくれればいいんだよ。ドッキリの内容は」

「あの、僕。まだ……」

「私が拓に迫るというものだ。私のセリフに、拓はいつも通り話してくれればいい……ひひ」

「はぁ」

 まぁ、これでおあいこかな。

 なんだかんだ、僕は人に弱いんだよなー……


             *


 久保さんが下に降りてくる音を合図に、若葉さんは僕の隣に座る。

「なぁ、拓」

「は、はいー?どうしました?」

「拓って彼女いたことあるか?」

「いや、1人もいないですけど……」

「そうか。なら、どんな女の子がタイプだ?」

「どんな子って……」

 そりゃ、あるけど。僕だって男の子なんだから。

「んー……そうですねー……あ、美味しく食事をする人ですかね」

 めちゃくちゃ遠慮して言った。

「そうか。じゃあ、胸の大きい子は好きか?」

「そりゃ、僕も男ですし好きですよ……」

「ほーう」

 横目で一瞬見ると、久保さんが立ち尽くしている。

「そう言えば、拓ってよく見ると可愛いよな」

 若葉さんはそっと僕の頬を撫でる。背中がゾワっとした。

「いや、若葉さん。何を言ってるんですか……」

「私は至って真面目だぞ?」

 若葉さんはドッキリと言ってもやりすぎで、僕の腕を掴んで押し倒してきた。

「若葉さん……ちょっと待って」

 足音でわかる。久保さんが若葉さんの元に駆け寄ってきた。

「お姉ちゃん」

「歩果……」

「拓くんに何してんの」

「別にー」

 若葉さんは体を起こして大袈裟にアピールをする。

「ドッキリでもやりすぎだよ……」

 久保さんが僕と思ったことと同じことを言った。

「え、久保さん。分かってたの?」

「うん。お姉ちゃん。拓くんみたいなの好きじゃないと言うか……」

「そうだな。私はもう少し年下って感じの男が好きだ」

「だから私……最初は驚いたけど、でも流石にお姉ちゃんが妥協したとしても、ここまではなしないから」

「チ。姉妹の年季でドッキリができなかったか」

 若葉さんはつまんなそうな顔で、ソファから離れた。

「ま、拓。私に迫られて興奮しただろ」

「いや……むしろ、僕がドッキリみたいなんですけど」

「まぁ、いいか。歩果は騙せなかったか」

 そう言って若葉さんは自分の部屋に戻って行った。

「拓くん」

 若葉さんに変わって、久保さんが僕の隣に座る。

「お姉ちゃんに迫られて、どうだった?」

「え……ちょっとドキッとした」

「……スケべ」

「え、なんでよ。ドキドキしただけだよ。確かに僕も男子だけどさ、そこまでじゃないよ。久保さん?聞いてる?ねぇ、久保さーん」



 その様子を、テレビ前の机に置いた雑誌に取り付けた小型カメラで、若葉は繋いでいるスマホで見ている。

「はははは!やっぱこいつらは面白いなー」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。