【番外】選択授業が始まって
2年生になって、選択授業が始まった。だが、俺にはわからない奴がいる。
「久保。この答えは?」
「グラタンです」
周りの生徒はクスクスと笑う。
久保歩果。
少し、真面目ではない女子生徒。でも、たまに真面目に授業を聞くし、正しい答えも言ってくれる。
だが、この生徒は変極まりない。
原因はアイツしか考えられない。
森川拓。仲の良さは職員室でも話題だが、いくらなんでもそいつがいないだけで、気の抜けた答えを連発するのは少しわからない。
森川と久保は選択が違うから、必然的に離れるのだ。
「久保。ちょっといいか?」
授業も終わって、俺は首に声をかけた。
「はいー?」
「……最近、真面目に授業を聞いていないのかは知らないが、変な答えを出さないでくれ」
「変な答え?あぁ、はい」
「さっきは、なんでグラタンって言ったんだ?」
「今日のお夕飯です」
夕飯。授業で夕飯が出てくるのは少しおかしい。
「ああ……でも、どうしてそんな注意力が下がるんだ?」
「…………拓くんがいないからですかね」
「森川?森川も久保がいないとそんな風なのか?」
「多分違います。拓くん、寂しさを表に出さないんですよ」
「…………」
「だから、私が一緒にいないといけないんです。と言うことで先生。拓くんと選択授業を一緒にしてくだい」
「それはできないな。選択授業は変更できないからな」
「先生。学年主任ですよね」
「学年主任でもできないことはあるんだよ」
やれやれ。
友達がいないからやる気のない生徒は何人も見てきたが。久保は少し違う。
誰かと喋ったりもしないし。
のんびりと考え事をしたり、腑抜けな答えを出したり。
「とにかく、間抜けな答えは控えてくれ」
「……そこは気をつけます」




