一緒の趣味ができた
「久保さん。お昼一緒に食べるんでしょ?寝るのは授業だけにしてよー」
久保さんは授業でたまに寝るけど、今回は昼休みになっても寝ていた。月曜日だから?
「んー、拓くん。あと5分」
「それ起きないやつだよね?あ、最近僕が起こしに行ってないじゃん。それだけでも偉いよ」
「んー、やったー」
久保さんは顔を上げて起き上がる。髪が乱れていて、顔にくっついている。
「はい。久保さん。お弁当箱出して。机はくっつけておくから」
「はいはい」
「はいは一回」
久保さん、寝てばっかだけどテストは大丈夫なのかな?
机をくっつけると、久保さんが大股で来た。
「お弁当箱あった。忘れなかった」
「えらいね。昨日は何時に寝たの?」
「んー?3時」
「…………」
「…………」
少し言葉が出なかった。
「久保さん。まだ寝ぼけてるのかな?3時に寝る女の子がどこにいるの?よーく思い出してもう一回」
「3時」
「3時って……久保さん。最近ニキビ気にしてるんだから早く寝ないと」
僕が呆れると、彼女は言う。
「眠くなかったんだもん。動画見てたらいつの間にか寝てた」
「ブルーライトの深夜浴びは睡眠も悪くするからダメなんだよ……寝れないからって……」
良い子のみんなは寝る目にスマホを見ずに寝ようね。
「えぇい。私が何しようと勝手。私の部屋は99割私のもの」
「その言い回し……」
「ん。拓くんはどれが好き?」
久保さんは「拓くんも見てるんだー」とも言わず、聞いてくる。漫画動画は現実離れしてるから好きなんだよね。
「やっぱり……男装?」
「私は幼馴染の一途な恋かな」
キザっぽく久保さんは言う。完全に目が覚めてる。
閑話休題。
「あの動画って、お約束が多いから、どれが来るのか楽しみだよね」
「そうだね」
「チュンチュン」
やけに男性みたいな裏声で久保さんは鳴き真似をする。
「それも見た」
「すずめとかの動物が変な声だったり」
「男の子の声が明らかに女性だったりね」
そのチャンネルには、特徴がいっぱいある。それほど面白いから。
「拓くん。面白いのがあるから見にこない?」
「お、いいね。あ。家にプロジェクターあるから見ようよ」
家の奥底に歴史の闇のように葬られていたのを、ふと思い出した。
「大画面で楽しめるんだー。映画みたいでいいね」
「じゃあ、総集編を見ようか。“閑話休題”」
「あ、拓くんも言った。お約束の語録」
「意外と見てるんだよ」
「いいじゃんいいじゃん。じゃ、総集編鑑賞が楽しみ」
久保さんは趣味が同じの僕が嬉しいのか、いつもより嬉しそうだった。
おまけ
総集編を見終わる直前に寝ちゃった拓くん。
「…………」
無性に撫でたくなるのはなんでかな。
「なでなで」
「ぐーぐー」
「⁉︎た、拓くん。起きてたの?」
「ハハ。擬音を口に出すと、なんかいいね」
擬音を口に出すのは、さっきの総集編でも何個かあった。




