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アユタクファンクラブ

「んー?俺?学校」

 俺は廊下に出て双子の姉の雫と電話をしながら、教室を覗く。

「それは分かってるか。うんうん。家にこもってるとお腹が空いてくる?逆じゃないか?まぁ、帰りにアイスでも買うから、腹ごなしにな。夏だからな」

「れーい」

 後ろから名前を呼ばれる。

「お、ごめん。友達が呼んでるから切る」

 返事をもらって俺は電話を切った。

「どした?」

「なんかタクアユが言い争いしてる」

「え?」

 2人はなぜか席を立って言い合いをしていた。

「今日はゲームしたーいー」

「今日はしないってば。久保さん。いじっぱりすぎるよ」

 どうやら、2人はゲームで言い争いをしているようだ。

 見ると、国木田が久保の話を聞いている。

 俺も森川に話さないとな。

「おーい。森川。どうかしたか?」

「……え、零くん」

「なんでゲームで言い争いしてるんだ?」

「いや、久保さん。断ってもいつもは二つ返事で穏やかに引いてくれるのに、今日は頑固だから」

「ふーん」

 国木田に話すふりをして久保は言う。

「いいキャラでコンボを身につけたの。だから、試したい」

「若葉さんとやればいいでしょ?」

「お姉ちゃんと練習したから、見え見えなの!」

「クーちゃん。落ち着いて」

 慌てて国木田が止めて言う。

「やりごたえは無いと思うけど、私とどう?」

「んー……いいけど、拓くんともしたい」

「また誘ってよ。そしたら遊ぶから」

「それは……いいかも」 

 森川の言葉で久保のエンジンが切れていくのを感じる。

「ね。僕は今日やりたいことがあるの。だから、今日はできない…………最初からこう言えばよかったのかもね」

「うん……」

「ごめんね……」

「ううん。私も……」

 なーんかこの2人って、しんみりした空気を感じないんだよな。

 この喧嘩も日常茶飯事な気がする。

 いや、これが日常なら困るけど。

 ちょっと聞いてみよ。

「なぁ、国木田」

「え、……なん、ですか」

 久しぶりに話すからか、少しぎこちない。

「あの2人とはどれくらい一緒なの?」

「え、高校からだけど。でも、クーちゃんはよく森川くんの話する……クーちゃんと一緒の中学の加藤さんに聞いた方がいいと思う」

「へぇ、聞いてみるわ」

 俺はクラスに耳を傾ける。

「収まってよかったね」

「口喧嘩だけは珍しいよな。いつも、長く喧嘩してるイメージある」

「これ見よがしに『仲良いアピール』すんなよ」

「まだ付き合ってないらしいぜ。おかしくない?」

 俺は左手で右の耳をかく。やれやれ。どいつもこいつもそれぞれだね。


 俺は放課後に、加藤に話を聞くことにした。

「歩果はね、拓くんに恋愛的な感情はあると思うよ。でも、言葉にしないのが2人らしいんだよ」

「そうなのか?」

「あ、そうそう。水乃くんの友達はみんな『タクアユ』って言うけど、あれは違うよ」

「やっぱり?」

「あれはアユタク。歩果が何かを決めて、拓くんがそれについていくみたいな」

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