表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/72

膝に座る

 週末のフードコートは混んでいた。

 そう。不可抗力、不可抗力。

「久保さん。いくら席が混んでるからって、僕の膝に座るのは違くない?」

「拓くん。アイス食べてるじゃん。そのほうが都合いいでしょ?」

 久保さんは丼を手で持って食べている。


 数分前だった。

「わ、混んでるね。探そ」

「うん」

 僕がアイスを買ったのは、これから久保さんがクレーンゲームか何かをして散財すると思ったから、僕も何回か手を貸すためにお金を残すため。

 そして、久保さんが注文して席を探しても、席はなかった。そうこうしていると、ブルブルと手持ちの注文ブザーが鳴った。

 それから、料理とアイスを持ちながらキョロキョロしていると、子供連れの親子さんが、「座りますか?」と尋ねてきてくれた。でも、幅的に1人しか座れなくて……


 てなわけで、絶賛恥ずかしい。

 小さな子供が僕らを見ている。

「おねえちゃんたち、なにしてるの?」なんて幼稚に聞いてくる。ちなみに、隣に座っている他の人たちも、ちらちらと僕らを見ている。事情を知らなければ、はた迷惑なカップルだ。

 あと、少し膝が痺れてる。

「久保さん。食べ終わったら離れて欲しいんだ。膝が痺れて来て」

「えー。まだ半分くらいしか食べてないよ。あ、お漬物は拓くんが食べてね」

「アイスに合わないものを食べさせないで」

 その様子を、子供のお母さんがニコニコと見る。

「なんだか、羨ましいです。2人を見てると」

「はい?」

 思わず僕は首をかしげる。

「なんか、芸人さんみたいな」

「僕たち学生ですよ」

「でも、仲が良いですね。見てて楽しいくらい」

「そうなんですかね……」

 アイスを食べようとしている久保さんの頬を押さえながら言う。

「ほら、それですよ。以心伝心ですね」

「まだ、心で通じ合う仲ではないと思うんですけどね。ほら、久保さん。お味噌汁飲んで。冷めちゃうから」

 お母さんはまた上品に笑い出す。

「いや、むしろ親子と言うか……女の子……久保さんの方はだいぶ自由な方ですね」

「そうなんですよ。自分勝手」

 今まで黙っていた久保さんがすぐさま反応する。

「え?本人の前で言うこと?どうする?座るところ変えよっか?」

「これ以上奥に行くのは勘弁して」

 自分のがどう言う状態かは知らないけど。まぁ、普通ではないか。

 アイスを食べ終わって一息つく。

「久保さん。あとどれくらい?」

「ん?お漬物」

 よく聞くと、ポリポリとお漬物を食べる音が聞こえる。

「久保さん。アイスのカップを捨てに行きたいんだけど」

「ん……」

 返事をして、久保さんは膝からどく。

「はい。ありがと」

 そう言って立つと、久保さんがお漬物を噛みながらついて来た。

「え?」

「食べ終わったから片付けに行くの」

「そっか」

 お母さんを見ると、手を振っていた。

「ありがとうございました」

 よく見ると、子供も手を振っている。

「かわいい〜」

 猫撫で声で、久保さんは手を振った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ