【番外編】和泉ちゃん
こんにちは。国木田和泉です。
今日は、初めて友達のクーちゃん……久保歩果ちゃんのお家にお邪魔します。
実を言うと、私は田舎から引っ越したのでこう言う都会と田舎の中間地帯にもまだ慣れません。
「あぁ、和泉ちゃん」
「なに?」
家の前でクーちゃんは足を止めた。少し、深刻そうな顔で私に向けて言う。
「あのね、年中ウチはお姉ちゃんがいるから。ちょっと注意してね」
「…………?」
え?お姉ちゃん?大体、お姉ちゃんといえば仲が良かったり距離があったりするものじゃないの?注意してって、もしかして何か危ない人だったりするのかな?
クーちゃんがドアを開けてくれた。急いでお家に入る。
外とは違う匂いが入ってきた。
「お……」
「ちょっと待ってて。お姉ちゃんと話してくるから」
そう言ってクーちゃんはリビングに入って行った。興味があるから、聞き耳を立ててみる。
「お姉ちゃん。また床水泳してる……」
「そうだ。歩果もやるか?」
「とにかく、今日はお友達が来てるから変なことしないでね」
「え?卓くんじゃないの?」
どうやら、森川くんは頻繁にクーちゃんのお家に来るらしい。少し羨ましい。
あと、床水泳ってなんじゃい。
そして、クーちゃんが顔を覗かせる。
「お待たせ。上がって」
「お邪魔しまーす」
靴を脱いで、揃えたことを確認してリビングに入る。
そこには、ソファにクーちゃんのお姉さんがいた。意外と普通の人……すこし胸が大きいけど。やっぱり姉妹なだけあって雰囲気とか顔が似てる。
「やぁ、お友達ぃ」
妹に制限をかけられているからか、すこし動きがカクついてる。
「お邪魔します……」
「礼儀正しいねー」
お姉さんはソファから立ち上がる。背が高い。170くらいだ。
「邪魔だろうから私は退場する。10連コンボの練習するー」
そう言って、2回のお部屋へ退散するお姉さん。
クーちゃんは「まだ懲りてないんだ」とつぶやく。
「クーちゃん。なにがあったの?」
「え?お姉ちゃんがキックで壁に穴を開けた」
「なにそれ……」
「でしょ。結構変な人だよ。お姉ちゃん」
『ワハハハハ!私の戦闘力は53万5700だー!』
2階の部屋から聞こえてきた声。
「暴走した……」
クーちゃんはため息をついてソファに座る。
「あ、和泉ちゃん。コンタクト外していい?」
「うん、いいよ」
そう言って部屋に消えていくクーちゃん。
そして、それを見計らったかのようにお姉さんが入ってくる。
「え、いつの間に……?」
「やぁ、お友達。名前はなんて言うのー?」
「国木田和泉です……」
「おう、いい名前だ。どっちが名字?」
「国木田です」
「そうかそうか。ところで、歩果とメガネ同じだね」
変にニヤニヤと笑うお姉さん。なんか、奇妙な感じがする。
「ねぇ、私の部屋にマネキンがあるんだけどいる?」
変なことを言い出すお姉さん。
「え、結構です……」
「まぁまぁ。遠慮せずに」
「いや、結構ですから」
すると、鋭い声がかかる。
「お姉ちゃん!」
「うぉ。歩果……」
メガネをかけたクーちゃんが現れた。確かに、私と同じ黒縁のメガネだ。
「自分で買ったんだから他の人に押し売りしないでよ」
「ちぇ……」
「あの、いくらで売るつもりだったんですか?」
「和泉ちゃん……」
「ざっと一万円だ。だが、歩果に邪魔されたな」
そう言ってそそくさと部屋に再び消えていくお姉さん。
「え、なんでお姉さんはマネキンを買ったの?」
「売ってたから買ったって。職質されたらしい……」
「あぁ、うん」
なんだろう。笑いにくいし、返事がしづらい。
「まぁ、とりあえずゲームしよ。和泉ちゃん。スマ○ラは得意?」
「あぁ、うん。弟とたまにやってるけど……」




