2人の見方③
「えー、付き合ってないの⁉︎」
拓くんが委員会だから、お友達の加藤さんと一緒に帰っている。
拓くんの話題で、加藤さんは「付き合ってるの?」と聞いてきたから、正直に「付き合ってない」って言ったのにこの反応。
「うん。お友達だもん」
「いやいや。ちょっとおかしいんだよ……」
「なにが?」
「あのねぇ、お友達の男女がお家を行き来したりしてる時点でダメなのよ」
「ふーん……」
興味がなさそうに言う。
「拓くんかー……」
加藤さんがつぶやく。
「なにかと、有料物件かもしれない」
「ん?どういうこと?」
「人当たり良くて優しいし、おまけに頭も良い……漢検と英検持ってるよね」
私は頷く。
「うん。漢検は準二級。英検は三級だって」
「すごいじゃん。もう、モテないのがおかしいよ。顔も悪くないし」
「顔で判断しないで」
私は、少し怒りを抑えて言った。
「あ、ごめん」
「いいよ」
「でもね、なんか英検だけはリアクションが薄かった」
*
中3の夏
「取っちゃった」
「リアクション薄くない?」
「いや……親が無理やり受験させたから……勉強もあまりしてなくて」
*
「実力隠し系みたいだね」
加藤さんがそう言う。
「そう?意外と穴あるよ。運動できないし」
「運動を犠牲に知識があるんだよ」
加藤さんはツンツンと私の頭を小突く。少しイラッとする。
「なに……ネガティブな事とか言わないの?」
「言わない。拓くん、そう言う人じゃないし」
「じゃあ、喧嘩は?」
「たまーにするよ。前はジュースで喧嘩した」
「しょうもな」
私は一つため息をつく。
「ね。今思うとしょうもないよ。私が……いや、お互い悪かったよ」
加藤さんは簡単の声を上げる。
「ほんっとにすごいよ。一方が悪いって押し付けないところ……なに?このまま友達止まりでいいわけ?」
「…………さぁ」
私は少し考える。
「ん?え?」
すると、私たちの前に見慣れた人が現れる。
「あれ……お姉ちゃん?」
「お、歩果か」
「どこにいってたの?」
「ニッチなジャンク店を見つけて行ってきた。そこで、やっとマネキンを売れたんだ」
「よかったね。粗大ゴミになるところだったよ。いくらで売れたの?」
「6000円。持ってくる途中でまだ職質されたぞ」
すると、加藤さんが私の肩をツンツンし、耳元でいう。
「ねぇ、拓くんって……この人の相手もしてるの?」
あいにく、失礼だとは思わない。お姉ちゃん、こんな人だから。
「うん……意外とのらりくらりとかわしてる印象だけど」
「お、なんだなんだ?」
お姉ちゃんが食いつく。
「この子は歩果の友達か?」
「あ、はい……加藤翠です」
「良い名だ」
お姉ちゃんは頷きながらそう言う。
「私は久保若葉。歩果の姉だ」
「それで、あの、マネキンとは」
「ボクシングと格闘技用に買ったんだが、シャドーボクシングで事足りてしまってな。だから、持て余してたところだ。買って帰る途中と売りに行く途中で職質されたぞ」
「そうなんですね……」
明らかに加藤さんはお姉ちゃんに引いている。
お姉ちゃんは、誰でも変な態度を崩さない。でも、好きに生きてる証か。
「あ、歩果。私、ここら辺で」
そう言うと加藤さんは、そそくさと去っていった。
「お姉ちゃん」
私はお姉ちゃんを少し睨む。
「ん?」
「拓くんと私以外の態度をもう少しマイルドにして」
「え?やだ」
「でしょうね」




