身体測定
今日の体育は、身体計測をすることになった。
「男子は先に視力。女子は身長と体重測りますからね」
ちなみに、女子の方は女性の体育の先生がやるから、女子は安心なはず。
「右……下、上……わかりません」
「はい。0.8。反対」
こんな風に、なんの異常もなく進む。みんな、ドッジボールが楽しみだから少し静か。
女子全員の測定が終わると、今度は男子が身長と体重を測る番。
「162センチ……」
ドッジボールで、久保さんと同じチームになったから聞いてみた。
「久保さん。身長いくつだった?」
「163」
「なんで僕の方が背が低いの」
「一センチでしょ。ただの誤差」
「違うよ。朝起きた時が一番背が高いんだよ。転がってるから、背骨が重力の影響を受けないから元の長さに戻るんだよ」
「……じゃあ、夜が重力かかってるから低いってこと?」
「そういうこと」
「あ、始まるみたい」
イタズラに体重を聞こうとしたけど……1発やられそうだし、ドッジボールが始まるからやめた。
*
ドッジボールは、基本的に僕は逃げない。昔は大はしゃぎで逃げてたけど、今や僕は狙われる側の人間ではないから。
それに、動かない方が疲れないし。
動くのは、ボールを持った外野が近くにいる時か、飛んできたボールがこっちにきた時。
「おるぁ。リア充爆発!」
変な私怨で投げてくる人もいるな。
こんな風に、ボールの交錯を見るのは何かと楽しい。だから僕はずっと内野にいる。
「ほ」
伏せて飛んできたボールを避ける。
「うぇ」
久保さんが当たった。ドッジボールが強いと錯覚したのか、流れ弾に当たったのかは知らないけど。
「あれ……」
気づくと、僕の周りは誰もいなくなっていた。
「んー……」
こう言うの苦手なんだよね。
しかも、相手側はバスケだかサッカーだかの人。
どうやって避ければいいのかな。
すると、相手がボールを投げてきた。まぁ、そりゃ投げるよね。こんなひ弱に。
さっきと同じで、伏せてボールを避けつつ、すぐに体を戻しながら後ろに向ける。
外野が投げてくるから。
言うほど速くはない。
足をあげてボールを避けたけど、ワンバウンドして、僕の太ももに当たる。
少し転がるスピードが落ちたから、慌てて線ギリギリでキャッチする。
でも、相手には投げない。
味方の外野に回す。
僕はとりわけ身体能力も良くない。中の下。それくらいでいい。
味方がボールを投げるけど、また避けられる。
手強いね。
また僕がボールを持ったから、また外野に。
「やべ」
味方がボールを投げてくれたのに、敵外野に行ってしまった。
「べ」
顔にボールが当たった。
失格のホイッスルが鳴るが、周りの「セーフ」の声で、取り消しになった。
あれ、敵の彼も「セーフ」って言ってたような。
内心お礼を言いつつ、内野に向けてボールを投げる。貧弱なボールはすぐに取られて、投げられて外野に。
外野が投げた時だった。
避けた拍子に、足が絡まって尻餅をついてしまった。これは……
「ちょ……」
かっこ悪いけど、手で床を押して床と体操服の滑りでボールを避ける。
投げるところと言えば、ここしかないから。
「刺せ!刺せ!」
誰か競馬気分で見てない?
起き上がった時だった。
ピーーーーーッ
ボスッ
笛が鳴った瞬間に、僕にボールが当たった。
みんなが注目して、先生を見る。笛が鳴った瞬間にボールが当たった。
そして、別の先生と話している。
「これって、当たったことになります?」と聞こえる。
嫌に早い心臓。
そして、しばらくして……
「ドロー……引き分け!」
僕は安堵で、息を漏らす。
体育が終わって、久保さんが話す。
「すごかったよ拓くん」
「ありがとう……無意識みたいに避けてたから、あんまり実感ないかな」
大体、一生懸命やっているとそんなもんだ。
「私も、すごいかもって」
和泉さんが少し詰まりながら言う。
「ねぇ。凄かったよね和泉ちゃん」
久保さんが和泉さんの頭を撫でる。
「わわ……クーちゃん」
「あとで梳かしてあげるから」




