寝坊
スマホの着信音で、僕は目を覚ました。
「ん……なに」
よく見ると、久保さんから電話がかかってきた。
「はいはーい。どうしたの?」
『あ、拓くん。どうしたの?』
久保さんの心配そうな声が聞こえる。
「なにが?」
『風邪引いた?今日……月曜日だけど』
「え?」
時間を確認する。
「うぇ……え〜〜」
『え、どうしたの?』
「ごめん……アラームの設定忘れた」
『なにしてるの?』
少し笑いと呆れが混じった声。
『急いでも1時間目が始める直前かもね。あ、もう少しでホームルームだから切るね』
そう言って久保さんは電話を切った。
とにかく、急がないと。髪は寝癖だけ整えりゃいいや。
光の速さで寝巻きから、制服に着替える。
「朝ご飯!」
荷物を持って下に降りて、戸棚にバナナがあったのを確認する。テーブルにはお弁当。
バナナをねじ込むように食べて、リュックを背負えばもう出れる。
靴を履いて、家を出る。
急がないといけない……走るの嫌いなんだよなー……
*
「遅れました!」
遅刻カードを書いてもらっていたら、授業が始まっていた。
先生にカードを渡して、席につく。
「散々だったよ」
授業が終わって、久保さんに話す。
「三連休だと思った人みたいだったよ」
笑いを堪えながら久保さんは言った。
「私も、横から見てたけど」
和泉さんも、“失笑を禁じ得ない”という風に顔を歪ませている。
女子軍団は笑ってばかり……
「あ、遅刻カードにはなんて書いたの?」
久保さんが一通り笑ってから聞く。
「寝坊だよ」
「シンプル」
「普通」




