久保姉妹
「お姉ちゃーん……あれ?お姉ちゃん?」
朝起きると、お姉ちゃんはいなかった。コンビニに行ってるのかな?バイトはもう辞めたって言ってたし、お友達と遊びに行く用もない気がする。
まさか、私が寝てる隙を狙って卓くんの家に?いや、ありえないな。彼の家を知ってるのは私しかいないし。
炊飯器を確認すると、ご飯がお茶碗一杯分減ってた。お姉ちゃんが朝ごはんを食べたのは明確。じゃあ、どこに?
家中探しても、やっぱりお姉ちゃんはいない。じゃあ、部屋か。あのお姉ちゃんが二度寝なんてありえないけど。でも、床水泳の途中で寝てることはあるけど。
でも、床にもいない。
試しに、2階に上がってお姉ちゃんの部屋をノックする。
コンコン
「お姉ちゃん?」
「あー?」
間延びした返事が聞こえる。少しホッとした。
「良かった。リビングにいないから心配したよ」
「私がいないことがそんなに心配か?」
「いや、そんなんじゃないけど」
「なにしてんの?部屋で」
「シャドーキックボクシングをしてたら、壁に穴を開けてしまってな。だから、白いテープで必死こいて塞いでるところだ。結構焦ってるぞ」
どう考えても自業自得なお姉ちゃんの行いに、私は少し呆れた。
焦ってるのかな?いつもと変わらない調子だけど。
「なんでシャド……なんとかなんてしてたの?」
「独学で格闘術を極めようとな。目指すは10連コンボだ」
「それスマ○ラでしょ?相手は人間だからね」
多分、お姉ちゃんが焦ってるってことは結構壊しちゃったってことか。
多分、ブンブンとキックをしてたら、壁に穴あけちゃったけど、そのまま放置してたら、また蹴って広げちゃった系か。なんというか、最初で焦らないのがお姉ちゃんらしいけど。
*
余談だけど、お姉ちゃんの部屋の穴が何故かバレてお母さんに怒られてた。
お姉ちゃんはこう言った。
「今や、色々なものは人間より丈夫になってきている。だが、このような薄い素材などは私の蹴り一発で容易に穴が開いてしまう。つまり、素材も学習をする必要があるのだ!」
もちろん、「あぁ、なるほどね」で片付けられるはずがない。これが火に油を注ぐ事態になってもっと怒られた。




