格好
「卓くんって服装は真面目だよね」
「え?何言ってんの?心も真面目だよ」
こっちは久保さんと協力してボスを倒してるのに、そんな話題を投げかけられたら、半ば空返事のように言ってしまう。
「だって、卓くんの髪。ちょっと茶色じゃん」
「あぁ、そういえばそうだね」
久保さんがやられてしまったので、復活させる。再び久保さんのキャラが動き出す。僕は続ける。
「従妹のほうが凄いよ。染めてるわけでもないのに真っ茶色なの」
「ふーん……」
「でも、見た目で決めつけられるとちょっとね」
「あらら」
同時に、久保さんのキャラがやられた。再び復活させる。多分、アクションゲームは向いてなさそう。
「でも、不便には不便かもね。服装検査だと、たまに引っかかるよ」
「あぁ、珍しく反発してたよね。入学早々に」
「いやぁ、今思うと恥ずかしかったよ。それにしても、地毛なのに黒く染めろってなんだろうね。染めちゃダメなのに、黒く染めてこいって」
僕はいつの間にか校則のパラドックスを言っていた。
「確かに、美涼ちゃんの友達も髪が茶色でよく引っかかってるって」
「……ハハ、意外と髪が茶色い人っているものだね」
その時の僕は、珍しく声を張り上げて先生に抗議をしていた。
「あれ、森川さん……髪が茶色いですよ?」
「あぁ、すいません……地毛なので」
「地毛ねぇ。とにかく、黒に染めてきなさい」
その言葉に、僕は首をかしげた。
「あの、この学校って髪染め禁止じゃなかったですっけ?」
「でも、髪は黒にしてください」
その答えに、ぼくは疑問が隠せなかった。
「でも、髪染めは禁止ですよね?先生は校則違反を助長させるんですか?」
「何を言ってるんですか……?とにかく、染めなさい」
「無理です」
「校則ですよ?」
「そっくりそのまま返します。こっちも校則だからできません」
多分、先生の中では僕が論破したがりな生徒だと定着してしまった。
その後の先生は、かなり困ったような顔をしていた。
結局、その先生が伝家の宝刀かのように学年主任の先生を呼んだけど、複雑そうに見逃してくれた。多分、これに関する校則は変わらないんだろうなと思ってる。
「いやぁ、あの時の卓くんはどうしちゃったのかなって思っちゃったよ」
ボスを倒してゲームを終えて、久保さんはジュースを飲む。
「だって、おとなしめな卓くんが先生に反抗するなんて。あの時の私には想像もつかなかったよ。まぁ、そのおかげで和泉ちゃんと仲良くなれたから良いけど」




