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案の定

 多分、多くの学生が経験したであろう受難に僕は陥っている。

 そう、お昼の後の五時間目だ。一部の人は“修行”とも呼んでいただろう。

 まさに、僕は今それにおかされている。眠気は強烈だ。真面目を意識しても眠気は襲ってくる。

 …………あぶな

 そういえば、こうなる原因を本で読んだことがある。

 たしか、こういうのは自然の欲求なのだという。「自然なら大目に見てくれよ先生」と思う。でも、そう言うわけにはいかない。先生は教えるのが仕事だ。仕事の縛りを無くせば、先生は気楽なのだろうか。

 あー、ウトウト……

 いやいや。そう考えている暇はない。今は眠気と戦わなければ。

 ハッと意識を戻して、黒板に向き合う。たくさんの数字が書かれている。数学の時間なのだ。慌てて、プリントに答えを書いていく。ひと段落つくと、首が力なく倒れ始める。

 ふぁ……

 慌てて意識を戻す。危ない危ない。油断大敵だ。漫画の効果音、キリッを意識し、黒板に向き合う。ちなみに、隣に親しい友、久保さんはいない。彼女は僕の一個左斜めの人の前の席だ。将棋の駒で言うなら桂馬だ。

 ならば対策をと、今回の授業の公式を利用して問題を作ってみるが、自分で作るから、答えがわかってしまう。ダメだこりゃ。いや、諦めてはいけない。途中式だ。それさえ書けば少しは防げるはずだ。ガンガン途中式を書いていく。なるほどなるほど。ふむふむ。少しわからなかったところが、分かるようになってきたぞ。授業中の暇つぶしはこうした方が頭が良くなるのかもしれない。解き終わったら達成感に包まれた。

 ねむねむ……

 また襲ってくる眠気。授業が終わるまであと二十分。五十分授業め。いや、1時間よりマシか。せめて、あと十分は短くしてほしい。また眠気が襲ってくるから、手のひらにボールペンの芯でも刺そうかとも思ったが、勇気がなくてやめた。あれ、痛いんだよね。



           *



 気づくと、チャイムが鳴っていた。授業が終わったようだ。でも、記憶がない。そこで、思い出す。寝てしまったのだ。後悔先に立たず。たしか、数学のプリントは中間テストで集めるって言ってた。机の中に数学のファイルがあった。ため息をついてプリントを閉じる。半分埋まっていなかった。久保さんに見せてもらおう。

 僕は立ち上がって久保さんに声をかけた。

「寝てたね?バーカ」

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