あの2人
黒板に計算の問題を書く。
「はい。じゃあ、この問題を解いてみてください」
赤ペンを取り出して、席を周る。
さて、今日はどうだろうか。いつも通り、気の抜けたような顔で授業を受けている。
この生徒の名前は森川拓。
成績はおおむね良好で、特に問題を起こさない生徒。いや、加害者なんだか被害者なんだかわからないことはあったが。
この生徒の隣の席には、いつも授業中に寝ている久保歩果。
彼女は結構分かりやすい。
寝てばかりだが、起こさない方がストレスが無いことに気づいてから,起こしてはない。
「久保さん。先生来るから起きて」
こういうのは地味に傷付く。
「あと5分……」
「寝ぼけないでよ」
自分から見て、この2人がどうして仲がいいのかが分からない。
明らかに正反対。
そもそも、寝る性別が逆じゃ無いだろうか。どちらかというと、男子の方がよく寝てる。
「あー、次席替えだー」
授業中騒がしいやつが言う。
「お、次席替え?」
自分も気になるから、その輪に入る。
「そっす」
その言葉を聞いた瞬間、視界の隅で久保さんが飛び起きた。
「え、拓くん……次席替えなの?」
「そうだよ」
「うう……離れたくない……あ、拓くん。私と一緒に前の席行こ」
「久保さん、コンタクトしてるじゃん」
「でも、拓くんの目、悪いでしょ?」
「いや、少し悪いけど文字の形で分かるし」
「えーーーー、拓くん。また私と隣がいい。担任に直談判する」
「使い方が少し違うよ。ていうか、黒板の問題解いて」
あの2人には、2人にしかわからないコミュニケーションがあるのかも、しれない。
・次回予告
「次回予告ってのをやってみたいんだよね拓くん」
「そうなの?でも、あるアニメだと16秒くらいしかないよ。もう、5秒くらいかな」
「え、何そのアニメ。気になる」
「キリがなさそう。次回、『待ってる』。分かる人には分かる、バトル・シャド」
「どこかに怒られる」




