2人の休日
パチリと目を覚ます。
「うー、さむい……」
モゴモゴと布団の中で寝返りを打つ。まぁ、今日は土曜日だし大丈夫か。いくら寝過ごしても、いっか……
「うぉい。歩果」
ベッドからお姉ちゃんがせり上がってきた。
「わ……お姉ちゃん」
「おはよー」
謎に顔を半分出して話出すお姉ちゃん。
「いつからそこにいたの?」
「1時間前」
「なにしてたの?」
「たまに歩果の寝顔見てた。あとはボーッとしてた」
地味に不適な笑いを浮かべるお姉ちゃん。でも、意外と嫌いじゃないかもしれない。
「お姉ちゃんどっかいって。私、二度寝するから」
「だーにー?じゃあ、私も一緒に寝よっか?これで人間暖房が完成するよ」
「あのねぇ……」
「え?卓くんがいいって?」
「言ってないよ」
さりげなく、人の名前は覚えてるんだから。記憶力がいいということは、頭がいい証なのか。
確かに、昔は真面目だったけど。あのお姉ちゃん。
「歩果。また寝るの?」
「うん……だから部屋から出て……でも、今何時?」
「9時32分26秒。つまり、今日が始まって34346秒だね」
「んー……」
何を基準に計算したのかは知らない。数学苦手だし。
「まぁ、いいけど……私は寝るから。お姉ちゃんは好きにして」
「はーい」
*
「…………さむ」
起きて早々、そう思った。寒すぎる。でも、今日は土曜日だから安心。
枕元にあったスマホで時間を見ると、9時14分だった。久保さんはあと1時間後くらいに起きるかな?
てか、布団があったか過ぎてもう出たくない。このまま夜になればなー……
このまま起きて顔洗いたくないなー。
でも、どうしてこの国は寒いんだろ?え?温暖湿潤気候と西洋海性気候だって?まぁ、それは知ってるけどさ。でも、どっちだっけ?
でもさー、起きれる気がしないよ。異常な寒さ。
大寒はもう過ぎたはずなのに。
あーあ、こんな日にも久保さんは呑気にしてるのかなー……
なんか、そう思うと元気が出てきた。
ガバリと起き上がって布団から出る。
*
「おーい、あゆかー」
変なところで起きてしまったなと思った。
「え、なに?お姉ちゃん」
顔を向けると、今度は足だけのお姉ちゃんがいた。転がって足を伸ばしてるのか。しかも、話すたびに足を器用にクイクイ動かしているから地味に笑える。
「もう10時だけど、起きるの?」
「えー、まだ寒い?」
「んー……寒いね」
「考える必要ないでしょ」
「歩果は寒がりだねー」
お姉ちゃんは毎年のごとくこれを言ってくる。別に寒がりでも生きていけるしー…………多分。どうして寒がりなんだろ。卓くんなら教えてくれるかな?
「お姉ちゃん。スマホ取って」
「エアコンのリモコンね」
「違うから」
お姉ちゃんはスマホを渡してくれた。メガネもコンタクトもしてないから、ぼんやりする目でスマホを操作して卓くんに電話をかける。
『もしもし?どうしたの?』
すぐに卓くんが出た。起きたばっかりなのかな?あと、近くでお姉ちゃんがニヤニヤしてるのが解せない。
「卓くん。私って寒がりじゃん?」
『え?あぁ、そうだね。マフラーに耳当てに上着で完全防備してるよね』
「うん。で、どうして寒がりな人がいるの?私みたいに」
『え?いや、ごめん。知らないね。単に、慣れるのが遅いだけじゃないの?人間の体って、その環境に順応しようとするらしいから。ほら、教室が暑くても、しばらくすればなんでもなくなるでしょ?あれと一緒だよ』
「うーん……」
『あれ?わかりやすく言ったつもりなんだけど』
「いや、分かりやすいよ?」
『あぁ……ありがとう』
「まぁ、問題は解決したかもしれないから切るよ」
そう言って電話を切る。
「やー。卓くんは物知りだねー」
お姉ちゃんのニヤニヤが少し薄まってる。
「ね、物知りだよ」
枕元にスマホを置く。
「え、歩果。三度寝?」
お姉ちゃんは驚いたように言う。
「そ。だから、邪魔しないで」




