バツが悪い
私が教室に入ったら、真っ先に拓くんを見つける。拓くんが来てるか、何をしているのかを見る。最近の朝は、コンタクトを付けやすくする道具を買っていつもより絶好調。
「拓く」
「森川くん。それ本当?」
「うん。ホントホント」
拓くんと話している和泉ちゃんだ。確かに、話が合うところはあると思う。でも、あんなに仲良さそうに……
「クーちゃん。おはよう」
「久保さん。おはよう」
2人からいつもの朝の挨拶。
「なんの話してたの?」
「あー、別に」
にごす和泉ちゃん。
「大した話じゃないよ」
拓くんもにごす。
「なんなの?」
膨れてムキになって私が言う。
「いいもーん。興味ないもんねー」
私はカバンから荷物を出す。
「じゃあ、森川くん」
「うん。また話そうね」
私は拓くんの頭を軽くどつく。
「え、なになに、久保さん……結構痛いんだけど」
「別に」
「絶対なんかあったでしょ……あ、僕が和泉さんと話してたこと?」
「…………うん」
拓くんは照れずに、バツが悪そうな顔をする。
「え、なんでそんな顔なの?照れてよ」
「いやー……」
拓くんはため息をついて言う。
「やっぱり僕って、隠し事できないなー」
「隠し事?」
「さっきまで、久保さんの苦労話をしてた。あ、別に、愚痴じゃないから。ね、ね」
私は躊躇もなく、拓くんの頭をつつきまくる。
「待って久保さん。地味に痛いから。あまり力無いからって数で押さないで」




