女子会
私は……私たちは和泉ちゃんの家で女子会をしている。メンバーは私、和泉ちゃん、加藤さん。
高校から仲良くなった和泉ちゃんと中学校からの付き合いの加藤さん。
皆でお菓子とジュースを囲んで女子会。
「やー。歩果さー」
「ん?」
「男子なんてよく叩けたよねー」
「まぁね。拓くんを馬鹿にするのは誰でも許さないんだから」
私は得意になって自慢する。
「じゃあクーちゃん」
「ん?」
「森川くんがいなかったら、どうなってたと思う?」
「え、何その質問」
「私ね、先生になったら担任したクラスでその質問を毎年やろうと思うの」
「おー。さすがは先生のお家」
加藤さんが口笛を吹いて拍手をした。
「んー……そうだね。思いつかないや。私、馬鹿だから」
グデーンと遠慮なしに転がる。
加藤さんが悪態をつく。
「あーあ和泉ちゃん。大変だね。先生ってこんなアホも相手するんでしょ?」
「なに?アホって」
マッハくらいのスピードで私は起き上がる。
「拓くんがいない世界なんて、今は考えられない」
「じゃあ、いなくならないようにすればいいんじゃない?」
「どうやって?」
「歩果じゃ物足りないからお姉さんの力も借りよう。体で落とせばいいんじゃない?」
加藤さん、下ネタ系の話は好きなんだよな〜。
「えー。なんでお姉ちゃんも出てくんの?」
「お姉さんの方がいい体してるから拓くんはお姉さんに寄るでしょ?ね、和泉ちゃん」
「でも、付き合い的にはクーちゃんが長いんでしょ?」
和泉ちゃんがフォローしてくれた天使すぎる。
「そんなこと言って和泉ちゃん。この中で一番大きいのに」
「ちょっと加藤さんー」
和泉ちゃんは照れ笑いを浮かべる。
「着痩せするから隠してるのにー」
「いやー。背が小さい巨乳は男子ウケするよ」
「彼氏はあまり欲しくないかなー。教師になって先生に熱中したい」
「生徒との禁断の恋が始まらない?ちなみに、教科は?」
「理数系の教員免許を全般的に取りたいかなー」
和泉ちゃん、おっとりしてんのになんちゅうダークホース。
「せんせーい。歩果のお胸は円周率を含めていくらですか?」
加藤さん、お酒でも飲んでるのかな?
「円周率は分からないけど、5000円くらい?」
「サバ読まないでくだせーよ。こんなん、1000円ぽっきりでしょうが。先生は10000円くらいですかねー。私の10倍。アハアハ」
加藤さん、なんか制御できない領域に入ってる。
「ちなみに歩果。お姉さんはいくら?」
「この前一緒にお風呂入ったけどさ、異次元だった。60000円くらいじゃないの?」
「どんくらいなの」
「自称Fらしいけど、もうGはあるんじゃないかってくらい」
「えーモテモテじゃん。歩果と似てたし」
「でもお姉ちゃん、女の子が好きなんだよねー」
その一言で場が固まった。
あれ?
「えー。私が付き合いたいよー」
泣き崩れるように私に抱きつく加藤さん。
「おーよしよし加藤さん」
って、和泉ちゃんが一向に話してないんだけど。
「和泉ちゃんはお姉ちゃんに会ったことあるよね。どうだた?」
「んー。天才肌な人だってのは分かったけど想像以上の変人だった」
「ぷ」
和泉ちゃんの口から“変人”なんて言葉が出るのは初めて。
「歩果ぁ。クッキーとってー」
加藤さんが手を伸ばして言う。手を伸ばした先にはポテチがある。
「はいはい」
私はチョコチップクッキーに手を伸ばす。
「ほい」
「あじがとぉ」
私に抱きついたまま、一口でクッキーを食べた。
「じゃあ、クーちゃんはお姉さんに森川くんを取られるのは?」
和泉ちゃんが聞いてきた。
「嫌。友達としても異性としても」
「勇敢に聞こえる」
「拓くんはすごいのをいーっぱい持ってるの。物知りだし頭がいいし、ゲームだって強いし」
「でも、そんな奴にも弱点はあるんでしょ?」
加藤さんがいつの間にか私のあぐらを枕のようにしてきて言ってきた。
「そうだね。季節の変わり目には風邪ひくし、運動はあまりできないし、非力だし」
「非力か。押し倒したら何もできないんじゃね?」
加藤さんはものすごい提案をしてきた。
「まぁそうだね」
「あぁ、あの時……」
和泉ちゃん。あの時のことを覚えてるだと……
「ちょ、和泉ちゃん」
「あの時、すごい誤解だって説明された」
「そ。誤解だからね。あれは罰ゲームでくすぐろうとした結果で」
「うん。20回は聞いた」
「で、押し倒した感想は?」
リポータの如く聞く加藤さん。
「そうだね。拓くんって腕が細いんだよね。なんか、こう。全体的に細かった」
「それだけかよー」
「加藤さん。お酒飲んでない?」
「飲んでない。未成年飲酒はしません。お酒は飲みたくありません。シマウマは草食です」
多分、これは加藤さんの素らしい。下ネタが好きなのは昔から知ってたけど。
「てか、加藤さん。離れてくれない?」
「やだ」
「で」
「やだ」
「…………」
「やだ」
「まだ何も話してないんだけど」




