表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼岸の鏡像  作者: 秋映


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/6

#3 初仕事

「では、会議を始めましょうか」


数分後、会議室にはルカを含めた3人が集まっていた。司会を務めるらしい女性が配った資料をめくりながら、ルカは挨拶を返す。


「先ほど配ったのが大罪人についての資料です。暗記する必要はないけれど、顔とコードネームが一致するくらいには読み込んでほしいわ」

「はい」

「次に、これからのあなたの処遇について説明します」


指定されたページを開くと、そこには地図があった。2つの国が更地を挟んで描かれている。


「あなたにはA地点の偵察に同行してもらう。表……機械国との接敵は確実ではないけれど、偶然かち合う可能性はかなりあると見ている」


女性がもう1人の参加者に目配せをした。


「今回はそこの彼、〝力〟と後1人の計3人で動いてもらう訳だけど……〝戦車〟はどこに行ったのかしら」


〝力〟と称された青年が居心地悪そうにため息をつき、口を開く。


「〝戦車〟は倒れて医務室に運ばれました。原因は魔法の使いすぎによる魔力枯渇です」

「彼の血の気の多さはいつになったら治るのかしらね」


司会の女性も深く息を吐いた。まあとにかく、と仕切り直すように彼女がルカの顔を見る。


「あなたの身の安全は同行者が守るけれど、軽々しく動き回らないほうが安全です。くれぐれも気をつけて」

「分かりました」

「これで伝えることは全て話したけれど、私から2つ忠告させて」

「なんでしょう」


視線が交わり、思わずルカは背筋を伸ばした。


「一つ、戦場では彼らの指示を聞くこと。法王があなたの検査結果を見せてくれたけれど、あなたは魔力が少なく安定もしていないそうよ。戦場は魔力の濃度がここより不安定だから、魔力にあてられるかもしれないと言っていたわ」


もう一つ、と彼女は続ける。


「大罪人との距離の縮め方を考えたほうがいい。あなたはまだ実感がないようだけど、私たちは平気で人を殺せる罪人。それに気付かないでいるといつか痛い目を見ることになる」

「でも皆さん、なにか理由があったんじゃないですか」


昨日案内をしてくれた女帝、今日話をした法王と皇帝。そして目の前の2人。ルカは彼らが根っからの悪人であるとは思えなかった。


「理由があっても、人間は基本命を奪わない。もし奪ったとしてもたいていの犯罪者は反省や後悔をするの」


彼女は穏やかに微笑んだ。まるで感情の起伏を悟らせないような微笑だった。


「私は反省も後悔もしていない。だから10年以上も〝正義〟としてここにいる」


くれぐれも、と彼女……正義は、念を押した。ルカは何も言うことが出来なかった。正義は最後に一度ルカと目を合わせてから部屋を出て行った。


残されたルカと〝力〟はしばらく黙っていたが、ふと力が独白のように呟いた。


「僕の所感ですが、あの人のように忠告をしてくれるだけましだと思っています。皆さん話してみれば案外普通ですが、それでも罪人だ」

「……あなたも人を殺した事があるんですか?」


目の前の彼は、とてもそんな事ができるように見えない。巻き込まれた、とかそういう事のほうがあり得そうな雰囲気をしている。


「ありますよ。数は少ないですが、悪質な殺し方をしました」

「どうしてか聞いていいですか」


彼は数秒考えたあと、ルカを見て言った。


「言えませんね」


それから彼は〝戦車〟の様子を見に行くのについてきてくれませんか、と話題を変えた。ルカは何も言えないまま、立ち上がって彼のあとを追った。

大罪人紹介

・コードネーム〝正義〟

性別:女性

罪状:不正・汚職(オブラートに包んだ表現)

術解名:「虚言溢れる法廷」


・コードネーム〝力〟

性別:男性

罪状:詐欺(オブラートに包んだ表現)

術解名:「始まりのない黙認」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ