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彼岸の鏡像  作者: 秋映


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3/6

#2 記録人

「あはは、酷い目に合ったなそれは」

「笑わないでくださいよ」

「ただの医者だと思ってたのが〝法王〟だったんだろ?しかもそれに驚いて椅子から転げ落ちるときた」


事情聴取の後、ルカは会議室に呼び出されていた。既に1人の大罪人が中におり、ルカは痛む頭をさすりながら泣きついたという訳だ。


「しかし、大罪人についての資料が渡されるって聞いてたんだが、貰ってないのか?」

「今日貰えると聞いてたんです……ところで」

「ああ、俺は〝教皇〟な。本名はリデル」

「やっぱり大罪人だった……」


愚痴をこぼすように呟けば、彼はおかしそうに笑った。


「昼間から会議室でサボってるような奴は、こっちの世界じゃ大罪人くらいだぜ」

「サボってたんですか」

「逆に、働いてるように見えたのか?」

「見えないですけど……『こっちの世界』って何ですか?世界がいくつもあるんですか」


彼の言葉に引っかかり問いを返すと、リデルは虚を突かれたように口を閉じる。そして表情を少しずつ変え、最終的に苦虫を嚙み潰したような顔で止まった。


「それも忘れてるのか」

「分からないですね」

「はあ」


彼は舌打ちと共に小声で何かのスラングを口走った。ルカには分からない訛りだ。


「この国が戦争をしてるってのは聞いただろ」

「法王さんから聞きました」

「世界ってのはちょっと大げさだったな。戦争相手は隣の国だ。こっちの国は魔法で発展したが、あっちは機械で発展した。それでまあ、あれだな、価値観の相違ってやつで戦争が始まった」


それが大体90年くらい前のことだな、とリデルは付け加えた。先ほど法王から聞いていたが、半世紀以上も戦争を続けているのだとしたら確かに戦争についての知識も常識だろう。


「魔法と機械はあんまりにも文明の系統が違うだろ?だから俺たちは世界ってくくりで勝手に呼んでる」

「でもこの軍ってパソコンありましたよね?」

「2代くらい前の〝悪魔〟が盗んできたって聞いてる。でもそれだけだ。こっちじゃ魔力と相性が悪いらしくて他は一切動かない。そのパソコンだって、10年くらいあっちこっち弄り回してやっと使えるようになったらしいしな」


「窃盗だ……」

「なにを今更。俺たちはほぼ全員窃盗よりやばい事してここにいるんだが」

「ひえ……」

「そんでここ数年、なんでか知らんが相手の攻撃が頻繁になってな。あちこち人手が足りないから身元も分からん記憶喪失のお前まで駆り出されてるってことだ。かわいそうに」


なるほど確かに自分はかわいそうだ。うんうんと頷いたルカを横目に、リデルは時計を眺めた。


「そろそろ来るんじゃないか?初仕事で死なないといいな」

「死!!?」

「まあ死んでも生き返らせてくれるだろ。がんばれ記録人さん」

「生き返るんですか!!?なんで!!?」

「じゃあ俺は行くよ。出動命令が来てるんだ」


倫理観が裸足で逃げ出すような爆弾発言を残してリデルは会議室を出て行く。残されたルカはこの後降りかかるだろう危険な仕事を想像し、机に突っ伏した。


「僕の記憶、早く戻って……」

大罪人紹介

・コードネーム〝皇帝〟

性別:男性

罪状:殺人(オブラートに包んだ表現)

術解名:「トリックアンドトリック」

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