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私たちはユエを見送り下山を開始した。ユエの回復を焦る余り登りは果てしなく感じた道のりも、冷静に下って見ると本当に大した距離ではなかった。それなのに疲労に悲鳴を上げる自分の体が情けない。
「そういや腹減ったな」
車に乗り込むなり雄真が言った。言われて私も空腹感を意識する。
「お昼ご飯食べてなかったものね」
「直に夕方だが帰りながらどっか入るか」
私はその提案に乗り、助手席でスマホを操作し帰り道に寄れそうな店を検索し始めると、雄真は車を発進させた。
「スマホ見すぎて酔うなよ?」
「リオンじゃあるまいし、大丈夫よ」
スマホから目を離さずに答えたが、そちらを見なくとも笑ってるのは何となく分かった。
「なあ、ユエは何で山を選んだんだろうな」
雄真の疑問は私も持っていて明確な答えは出せない。
「さあね。私も何故だろうって思ったけど、分からないのよね」
「俺はさ、もう諦めちまったのかと思ったよ」
雄真の言葉に私もと言って頷いた。
「だよな。金の力が確実にありそうな金色堂じゃなくて、予定通りに進もうって、もうただの思い出作りかよってさ。なら最後は好きにさせてやるって半分自棄だったよ」
「うん。でも、ユエには何か確信があったようにも思う。定められないって、あのあたり全体が強い気を放っていたからじゃないかな?山の上からならその地全体の気を取込みやすいと考えたのかも」
「確かに、一理あるな」
「それに、供養されて今じゃ平泉の人々にとっては神聖な存在であったとしても、ミイラのある金色堂は近寄り難かったのかもしれないし」
「それもそうかもな。でも、金鶏山の登り口にだって墓があったろ」
「ああ、義経の妻子の墓ね。じゃあ関係ないのかしら」
「神様の考える事は所詮俺らには分からないな」
「神のみぞ知るね」
雑談しながらもスマホも操作し良さそうな食事処を見つけて雄真に提案すると承諾され、そのままスマホでナビを開始する。
「ここからそう遠くないわね、しばらく直進して」
「おう」
「何を食べよう?どれも美味しそうで迷うわー」
店のメニューに目を走らせながらどれもが美味しそうで決められない。
「どうせここで決めても店入ってまた悩むんだから無駄な事はよせよ」
「そうなんだけど、あ!雄真の好きな抹茶のアイスもあるわよ」
「マジか!そういやユエのやつ抹茶も飲んでたな」
「ユエが抹茶?やっぱりお水とお酒以外でも大丈夫だったのね」
「ああ。自然の気を浴びてる葉っぱから出来てるなら問題ないとか言ってさ。酒じゃなくても良いんじゃないかって言おうとしたら酒が最も回復が早いとか言い訳してたよ」
「ただの酒好きなだけよね、きっと」
「だな」
私達は家に帰るまでの間、ずっとユエとの思い出話が尽きなかった。神社巡りでユエに言われた事や雄真がされた説法に至るまで、たった一週間の事とは思えないほどたくさんの思い出が出来ていた事が嬉しかった。この先も可愛いらしく美しかった異世界生物の事を私達は思い出しては語っていくだろう。
次話エピローグです。。
最後までお付き合い頂けますと嬉しいです!!




