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予想通り車が渋滞にはまることもなく最初の目的地へと到着する。一般的なお盆休み期間は終わったからか駐車場には空きがいくつかあり停めるのに難儀せずにすんだ。
「懐かしいわね、相変わらず綺麗な川」
「だな」
車を降り舟下りの受付に向かうまでにはすでに川が目に飛び込み、水のせせらぎが耳に届く。何艘も河岸には小舟が繋がれて浮き、それに乗り込む人々や満席になった舟が熟練の船頭によって岸から離れて、すれ違うように岸に到着する舟も確認できた。その様子を見ているだけでワクワクしてしまう。
『二人は以前も来た事がある場所と言っておったな』
「子供の頃にな。うちの姉と千歳の姉さんも一緒だった」
「夏休みに雄真のお父さんに連れてきてもらったのよね」
かつてここに来た時の事を話しながら乗船チケットの購入へ向かう。舟の上で楽しめる飲食物や鯉の餌なども購入出来る施設内には有名人の写真なども飾られている。自然豊かな渓流はこれまでに映画の撮影にも使われていたからだろう。その撮影の様子や季節ごとの舟下りイベントについて等の掲示物をチケット購入の順番を待つ間楽しむ事が出来た。
「冬はこたつ舟なんかもあるのね。雪景色とお鍋を楽しみながらの舟下りなんて最高でしょうね」
「春と秋には茶席舟だってよ。舟上茶会なんて風流だな」
「ちょっと、ペットも一緒に乗っていいの?!」
「そうらしいな。良かったな、ユエ」
『誰がペットだ』
「もう、喧嘩はやめてよ?これから往復で九十分の船旅みに出ようっていうのに」
チケットの購入が済むと、間もなく出発する舟に乗舟出来る事になり、早速舟着場へと向かった。舟の両サイド、二手に分かれて同乗者達は前方から順番に席に着いて行く。すんなりと満席になった舟は船首と船尾の船頭二人によって岸から離された。
舟の進行が安定するまで真剣に漕いでいた船頭だったが流れに乗ると乗客に向けてガイドを開始する。東北の訛りの強い語りは乗客達を和ませてくれた。川の両側に聳える見事な岩の壁の事や見るべき景色などをユーモアも盛り込んで教えてくれゆったりとした舟の旅の間中退屈させない。川の水は澄んでいてはっきりと魚の姿も確認できる。
船頭の語りに耳を傾けながらユエの様子を伺うととても心地良さそうな、穏やかな表情をしていた。聞かずとも良い「気」を取り込めているのが分かる。
順調に進んだ舟は折り返し地点である中洲で一度停泊する。船頭がしばし休憩する間、その中洲を乗客達は散策出来るのだ。舟を降り歩き出すと雄真はユエをヒョイと持ち上げ自身の肩に跨らせた。
「前は、迷惑だったーみたいに言ってたくせに」
「指図されるのは癪だからな。我儘を言われる前に先手を打っただけだ」
『雄真は気が利く良い子だの』
「だから、偉そうにするんじゃねーよ」
「まったく、素直じゃないんだから」
私はユエを肩車する雄真と並んで河岸を歩きながら自然の風景を楽しんだ。
来訪地【猊鼻渓舟下り】
映画『SHINOBI』の撮影地となった美しい渓谷です!非日常空間で癒やされること間違いなしの舟下り、本当にオススメです!舟上結婚式も出来るそうですよ~
※電子チケットを事前購入も出来ます◎




