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車を走らせて帰路に着き、「珈琲屋」に着く頃には日が傾き始めていた。何件分かの焙煎を済ませ晩飯の準備をしながらユエと共に千歳の帰りを待つ。しっかりと酒の入ったコップを手にするユエの髪は夜になっても輝いて見えるようだった。
十九時半を回った頃、店の扉が開き千歳が入ってくる。朝の別れ方があんなだっただけに少し気まずい。
「お、おかえり」
「…ただいま」
不機嫌そうではあるが朝ほどの勢いはないようだ。テーブルに向かいユエの髪を撫で声を掛けながら回復具合を喜んでいる。荷物を下ろしカウンターにやって来て配膳に取り掛かってくれたから、俺もスープなどをよそい始める。
「今日もありがとう、ユエの事」
雰囲気に任せてうやむやにしてしまおうとする情け無い俺は自分に腹が立った。怒らせる事を言ったのは俺なのに、それを脇に追いやって千歳に先に礼を言わせてしまった。
「いや、あー、その前にその、朝は悪かったよ。飯、美味かった」
「はあ、もういいわよ。口にあったなら良かったわ」
頭を掻く俺に、ため息をついて千歳は表情を和らげた。
「今日もユエの力はだいぶ回復したみたいね。涌谷はどうだった?」
気を取り直すように千歳が今日の話に方向を変えた。
「ゆっくり見て歩いたのは初めてだったんだが、良い所だったよ」
「それは良かったわね。砂金は大量に採れたの?」
「う、、」
『雄真は全然才能がないようだったのう』
俺たちの成り行きをただ見てたユエがやっと割って入って来た。
「ユエが先に採り尽くしちまったからだろうが」
ユエを睨みながら食事の並ぶテーブルへとついた。ユエの隣に腰を下ろして千歳はユエの首に掛かるネックレスに気づき手を伸ばす。
「まあ、綺麗!これ全部ユエが採ったの?」
『そうだ。我は金に好かれておるからの』
「で、雄真はどうだったの?」
苦味を堪えるような表情になりつつも、俺はシャツのポケットから包みを取り出しぶっきらぼうに千歳にそれを渡した。
「土産だ」
「キーホルダー?」
「その一粒しか俺は採れなかった」
「え、じゃあもらえないわよ!」
「いいんだよ!約束したんだから」
『貰ってやれ千歳。情け無い雄真を立ててやってくれ』
酷い物言いにユエを睨むが、ユエが金を分けてくれた事を思い出し俺は気持ちを落ち着かせた。
「そう?なら遠慮なく。雄真、ありがとう」
『…おう』




