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出来上がったアクセサリーを受け取って、俺たちはすぐ隣の黄金山神社を目指していた。ユエの首には早速金を収めたネックレスをかけてやっている。
「金を直接持つのはどうだ?力の補給にはなるか?」
ますます輝きが強くなった髪を見れば効果は歴然だったがこの場所の「気」が良かっただけかもしれないから俺は一応確認した。
『ああ、これで常に金の気を纏っておられるよ。何と言ってもこの世の金だからの、この量でもその威力は凄まじい』
「そうか、なら良かったな。この神社の気の方はどうなんだ?」
話しながら程なく黄金の鳥居に辿り着きその下をくぐり先に進んでいた。自然に囲まれた参道の石階段を登りながらユエに尋ねる。
『清らかで、金の気も強く我の力となってくれておるよ』
「そうか。ところで、ここには昨日みたいな奴らはいないよな?」
山深い神秘的な境内は厳かで自然と身が引き締まるが、人の気配も少なくまた神隠しにでも合わないかと不安になる。
『くっくっ、案ずるな。ちょっかいを掛けてくるようなモノの存在は感じぬよ』
ユエの言葉にホッと胸を撫で下ろし、落ち着いた気持ちで目を閉じ祈りを捧げる事が出来た。参拝を済ませ来た道を戻る途中には趣のある茶屋がある。ここも甘酒は無さそうだったため寄るつもりは無かったのだがユエがどうしても寄りたいとせがむので寄る事になった。
「茶でも大丈夫なのか?」
『うむ。自然の気を浴びた葉で出来ておるのだろう?問題ない』
じゃあ、普段から酒じゃなくても良かったんじゃないかと思ってしまうが、俺の考えてる事が分かったのかユエは神酒が最も力になるがと付け足してきた。
見事な庭園を望む茶室には金箔が施されていて、ユエがここの立ち寄りを望んだ理由が理解出来た。金の「気」を感じていたのだろう。注文した抹茶セットには和菓子が添えられ提供されたがユエは食べ物は摂らないためユエの分も俺が食べる。口の中の過ぎた甘さも抹茶の心地良い苦味が打ち消してくれた。
「ご馳走様でした。美味しかったです」
「そうですか、それはようございました」
「庭園も見事ですね、秋の紅葉の頃は更に素晴らしいんでしょうね」
「ええ、それはもう。良かったら、庭に水琴窟がございますので帰りがてらお楽しみ下さい」
「そうですか!ありがとうございます」
会計を済ませながら雑談に応じてくれる接客に嬉しくなっていると、庭の水琴窟も勧められて更に俺は気を良くした。こういう物腰の柔らかい心の籠った接客は俺も見習わないといけないなと、同業ゆえの学びも得る。
『水琴窟とは何だ?』
「見てからのお楽しみだ」
庭に出るとユエが聞いてきたが、言葉で言うよりまず見せてやらせてやろうとその場所へと足を向けた。手水桶の前に立ち柄杓をユエに握らせる。
「これが水琴窟だ。水を掬ってここに掛けてみろ」
『ただの石の上にか?』
何の意味があるのか分かっていない様子だが言われた通りにユエは水を掛ける。
『これが何だと言うのだ?』
「いいから黙って耳を澄ましてみろ」
程なくして鐘を叩くような音が響き出した。水が出す音なのに金属質を思わせる音にはいつも不思議に思ってしまう。
『おお!よう響く良い音色だ。なんと!気も澄み渡りよるぞ』
「だろ?この石の下には空洞があって、水滴が落下する音が反響して届くんだ。こういう日本庭園にはよくあるんだよ」
『お前たちは水を流すだけの事にも工夫をし楽しむ。古くからの工夫が自然と気の浄化となってきたのであろうな。この世に辿り着いただけで我の纏った大方の不浄を払ってしまえたのも頷ける』
そう言ったユエが心地良さそうにしていたから、水を掛け足してやりながらしばらく庭園に響く音に耳を澄ませて過ごした。
来訪地【①黄金山神社、②くがね庵】
①自然に囲まれた凜とした静寂の空間に佇む神社です
②金箔を床の間にあしらった茶室で日本庭園と抹茶を楽しむ事が出来ます




