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ユエとのおしゃべりには疲れたが、おかげで眠くならずに運転を続けられた。目的地に到着すると車を降り思いっきり体を伸ばす。大きな施設だが周りは自然豊かで空気が美味い。閑散としている事が多いここも連休の最終日に当たる今日は割と駐車場には車が多く止まっていた。車を走らせるのが好きで当てもなく走る時、ここに来る事もある。駐車場で一休みして食事だけする事はあったが施設内を興味を持って歩いた事は今までは無かった。
朱塗りの柱が特徴的な建物の中には砂金採り体験が出来る場所や、陸奥の金の歴史を教える資料館に食事処などもある。資料館で金の重さを体験したり、輝く金の展示品などをを楽しんでから、本日の目的であった砂金採り体験場へと足を向けた。
「砂金採り体験は初めてですか?」
「はい。誰でも採れるもんですか?」
「ええ、大抵二、三粒は皆さん見つけられます」
大見栄を切ってきた手前、一つも取れなかったら格好悪いと思っていたため職員さんの言葉にホッとする。
「では、やり方を説明しても宜しいですか?」
「お願いします」
「まずこちらを」
職員さんからまず皿のような物を渡された。皿の半円だけ二本の線で段差が作られている。
「このゴールドパンを使って水中の砂をすくいます。金は比重が大きいため、砂よりも下に沈んでますのでなるべく底の近くからすくいあげて下さい」
実演しながら教授してくれるその様子を俺は真剣に見つめた。
「そのまま水中でゆすって、金を皿の底に沈めます。そして皿の刻みの無い方を持ち大きく回して下さい。遠心力で砂が外に出ていきます」
なるほど、軽い砂は皿の外に投げ出されるが、金は比重が大きく沈むため刻みに引っかかり皿に残ると言うことか。説明を受け、皿の不思議な形状に納得する。
「砂を追い出すのを数回繰り返すと、金だけが皿に残ります。ほら」
「おお!本当だ」
職員さんの持つ皿には小さいが確かに金が残っていた。案外簡単そうだし、採れないなんて事は無さそうだと安心する。
「僕は一人で出来そうかな?」
「…」
「ああ、すいません。こいつちょっと恥ずかしがり屋で。俺と一緒にやらせます」
ユエには俺たち以外には声を届けないように千歳が約束させている。何よりユエがそれは弁えているため職員さんに対し返事が出来ない事を俺が代わりに謝った。
「そうですか、じゃあ頑張って下さい。僕も、お父さんといっぱい採ってね」
職員さんの応援にユエは首肯すると、職員さんも嬉しそうに笑っていた。しかし、子供連れだと普通に親子に見えてしまう年になっちまったんだなと心の中で苦笑する。
「よし!じゃあまずユエ、やってみるか?」
『うむ!』
職員さんにはただ頷いて見えただろうが、俺の頭にはユエの声が届き、その声からは強い意気込みが感じられる。ユエの背後から覆い被さるようにユエの短い手足を補助してやって、一緒に皿を回すとただの一度で数粒の金を発見する事が出来た。
「すごいですね!なかなか一度でこんなに見つかりませんよ!」
「だってよ!良かったな」
『我を誰だと思っておる』
職員さんの称賛にユエは得意げな表情を浮かべていた。ユエ自体が金なのだから当然の結果だろうが。その後も申し訳なくなる程の砂金をユエは採り続け、三十分の時間も半分になるとユエをどかして俺の分の砂金を採りにかかった。




